【少年野球全国Vナイン 高校最後の夏へ】番外編 東16丁目フリッパーズ・笹谷武志監督
2017年夏、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルドトーナメントで北海道勢初の優勝旗を手にした札幌・東16丁目フリッパーズ。道新スポーツWEBでは23年5月に、高校ラストイヤーを迎える当時の選手11人を3回に渡って紹介したが、夏の甲子園出場を争う南北海道大会を終え、番外編として笹谷武志監督(44)に登場してもらった。
南大会には卒団生の3年生7人が出場した。最後まで勝ち残って甲子園切符を手にしたのが、北海の長内陽大投手と小保内貴堂左翼手だ。
卒団した高校生の南北海道大会を全て観戦
笹谷監督は週末の昼間はチームの試合や練習があるため、観戦できるのは平日に限られる。今回は南大会1回戦から決勝まで幸運にも全て平日開催。全てを観戦することができた。
準決勝第1試合では、当時の胴上げ投手、札幌日大高の4番・斉藤隼人一塁手がエスコン南大会第1号を放つもチームは敗退。「決勝で長内との対戦が見たかったですね」と残念がった。同第2試合では、北海の長内投手が先発も3四球と苦しみ、2回1失点で降板した。「丁寧に投げた結果、うまくストライクが取れなかったのかな。調子が悪い時の姿、小学校の時と一緒なんですよね。ボールを受け取るときに斜め上を向くんです」と当時の姿に重ねていた。
北海・長内&小保内に「甲子園でもやり切ってくれるんじゃないか」
決勝では長内投手の登板はなく、一塁と左翼の守備についた。「甲子園で投げるとしたら、雰囲気だとか場面に心動くのではなく普段通りの力を発揮してほしい」とエールを送る。また決勝では9番・小保内左翼手が先制の適時三塁打など3打点の大活躍。「小保内の打席には全て意味があった。2人とも他の選手よりは経験も踏んでるので甲子園でもやり切ってくれるんじゃないか」。8月3日の組み合わせ抽選後すぐに応援に行く準備に取りかかるという。
勝利を目指す重みの中で精神力が身につく
全国的に有名なチーム。指導方針ははっきりしている。「チームの目標は小学生の甲子園『全日本学童』出場。勝利と育成の両方。周りから見たら勝利優先に見られているかもしれないけど、活動の軸は最大目標に目掛けてみんなで一つになる。それにより、勝った時の重みが変わってくるし負けた時の重みも全然違う。なんとなくやって負けたら次ってやっているより、そういった重さの中で活動しながら強い精神力を身につけていってくれれば」。練習中は選手も指導者も真剣にぶつかる。グラウンドには自然と厳しい声が響いている。
子供たちもOBの活躍は動画やニュースで知っている。しかも全国優勝した先輩だ。主将の中村昊雅捕手(札幌元町小6年)は「すごい。みんないいところで打って、守備も良かった。甲子園ではガンバってほしい。僕も将来は甲子園にいってみたい」と目を輝かす。
「野球嫌いにならず高校野球まではやり遂げてほしい」
笹谷監督も「(少年野球は)高校3年最後の夏の練習のため。野球嫌いにならず高校野球まではやり遂げてほしい。やっぱり夢中になって頑張ってくれれば、多分どんどん野球好きになってくれる」。情熱あふれる指導者の下から未来の甲子園球児が巣立っていく。