【一問一答】鉄腕・宮西が吉田輝星、根本ら若手にハッパ「38歳より走らなくてどないすんねん」
■イースタン・リーグ13回戦 ヤクルト6ー7日本ハム(8月3日、鎌ケ谷スタジアム)
日本ハムの宮西尚生投手(38)が3日、2軍ヤクルト戦の七回に登板し、1回を無失点に抑えた。今季は開幕から1軍のブルペンを支えてきたが、調子を崩して7月23日に2軍降格。その後は「ミニキャンプ」と称して鎌ケ谷で徹底的に走り込みを行い、短期間で状態を上向かせた。試合後の一問一答は以下の通り。
―登板を振り返って
「良かったね。この(2軍に来てからの)12日間でしっかり仕上げられた。2日前のピッチング(投球練習)で、かなりの手応えを感じたんよ。やっと軸足に乗れたっていう。だから球持ちが良くなった。きょう、しっかりゲームでできるかなと思ったら、しっかりできた。『ああ、この手応え、この手応え』っていうところにきたね。いつ(1軍に)呼ばれてもいい状態まで、しっかり最短で戻せた」
―1軍最後の登板と、きょうでは何が変わったか
「1軍でも疲労ではなくて、体の力不足を感じていた。スカスカ感というか。疲労からなのかもしれんけど。筋トレしたことある? した後ってグッて力が詰まっている感あるやん。あれが上(1軍)におると、トレーニングできる時間も限られてくるから、なかなかつくれない。若い時はそうなっても無理やり、地力的な力でバーンって放れるけど、それが年取ってくると厳しくなってくるっていうのは今回で勉強になった。こっちではホンマに朝40分まず歩いて、そこからオフと同じくらいの量を走って、ウエートもしっかりやって、死ぬほど追い込んだから」
―他の選手からも口々に、「宮西さんの走り込みの量がえぐい」と聞く
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「もうホンマに死ぬほど走っている。1軍におるより体力的には今の方がしんどいぐらい。だけど体のコンディションはめちゃくちゃ上がった。腹圧というか、体幹がグッて入るというか。だからきょうは球持ちも良かったし、同じような真っすぐでも、最後の強さというか、ファウル取れるし。(対戦した)荒木も1軍で活躍してた選手やけど、初球のファウルも狙われていてファウルが取れているわけやから、ああいうのは手応え感じるし、スライダーも出し入れしっかりできたし、真っすぐのコントロールも良かったし、きょうは言うことないかな。もう自分の思った通りにやるべきことをやって、しっかり自分の思い通りの体に戻った感覚はある」
―ポール間(PP)を12本走っている姿を見た根本が刺激を受けていた
「PP12本は初日で、暑さで俺はもう倒れそうになって、ホンマは14本いきたかったんやけど、残りの2本がマジでここから都内まで走って行くぐらいの距離に感じた(笑)。さすがにこれは熱中症になると思って、トレーナーからもストップがかかった。でもそこまでやって、その1週間は200(PP)、100、50、30メートルをずっと繰り返しで走って、本数的にもPPが14本、100メートルが15本、50メートル20本、この真夏の中で。その前に30分から40分必ず歩いて、だからもうだいぶ(体が)詰まってきたね」
―シーズン中にこれだけ走り込む経験はこれまでにあったか
「ないかな。6月後半、7月ぐらいから、スカスカ感は感じていた。疲れていないのに何かパワー不足やなっていうのは感じていて。別に状態が悪いというよりも、力が抜けている感じをすごい自分で感じていて、まあ打たれて抹消になって。でも、去年みたいに体中が痛いし、動かれへんし、肘に水たまるしっていう感じじゃないから。去年は調整が全くできなくて、諦めるしかなかった。そういう状況と違って今回は、ボール自体はそこまで悪くないし、フォームが崩れているわけではない。ただちょっとパワー不足やなと思ったから、もう一回キャンプやろうと思って、ミニキャンプを。下(2軍)に降りてくる時に建山(投手)コーチにも、『ちょっとキャンプします』って言って落ちてきている。抹消されてから、きょうが初めての登板やったけど、登板もきょうまで伸ばしてもらって、10日間は追い込もうと思っていたから、ウエートもしっかりオフ並みにやっている。ここのこの暑さで普通はげっそりするけど、体重2キロ増えたからな」
―これだけ走って、普通にご飯を食べられるのか
「食うしかない。食事量は、寮に泊まっているから朝昼晩出るっていうのがあるから。シーズン中の朝はプロテインとかEAA(サプリ)とかそういうので、いかにその日コンディション良くするかに尽くしていたから、スカスカ感は否めなかったっていうのはあるので。そういう意味で、この10日間はホンマに充実した時間だった」
―普通の38歳は、なかなか暑い中で走って食べられない
「だからもう10日連続の熱中症よ(笑)。新記録です。それぐらい追い込めたっていうのは間違いなくある。ここからはちょっとずつ変えようかなとも思っている。へばったら意味ないからね。その辺はトレーナーと相談しながらやろうかと思っている。言い方は変かもしれんけど、下におるんやから、やれること、下じゃないとできないこともあるし、もちろん下で結果出して上にアピールしなアカンっていうのもあるけど、いかに自分のベストの状態にいち早く持っていけるかが全てやと思うし、そういう意味で自分の中では、この10日間は100%追い込むっていう期間だった。それはやりきった」
―徹底的に走る姿勢が、後輩たちにすごい刺激を与えている
「(鎌ケ谷にいる選手は)年が離れているからね。そこまで仲良くしゃべるっていうのは、ほぼほぼないけど、ずっとあそこ(グラウンド)で走っとったら、まあ気付くわね。気付かんヤツはもう、そこまでの選手やと思うし。だけど(吉田)輝星とか根本とかには言っているよ。下で結果を出したい気持ちはもちろん分かるけど、おまえらは先が長いから、おまえら20歳ちょっとぐらいでしょ、大学生の方が走っているぞって。走るのが全てではないけど、走ったり体を大きくしたりできる期間は今。技術はもうプロ野球選手はあんねんから。1軍に行ったら(2軍に)帰ってきたら、アカンねんから、ずっとそこで1軍でローテーション回るような、これからの子やねんから、今が大事。だから、おまえ38歳より走らなくてどないすんねんって」
―練習中に関学大の後輩の山本に話しかける場面もあった
「あー、ドリルのやり方をね。あれはドリルの形の話やね。基本的にドリルとか何でもそうやけど、結局俺らって野球の結果につなげていかないとアカンわけじゃん。そのためのフォームづくりをするんであって、ドリルであってもウエートであっても何でもそうやけど、今の若い子はそれだけが目的になっちゃっているというか、走るのは走る、ドリルはドリル、ウエートはウエートになっている。じゃなくて、いかに自分のフォームにつなげていけるか、そこがゴール地点やから。基本的にはセットポジションに入った時の姿勢で決まるから。股関節をうまく使う方法とか、それをフォームにつなげるためのドリルなわけでしょ。だけど、今の若い子をパッと見てたら、ドリルの形だけを目的、ゴールにしている。そうじゃなくて、ウエートも深くやればいいとかじゃなくて、自分のフォームにどうつなげるかってところまで考えてトレーニングをやれよっていう話をした。あんな(下半身を)深いところでバンって跳んだりしてるやん。『でも、おまえピッチングの時そんな深いところから投げる?』って。パワーの出るところを探すっていうのがドリルの基本だから。みんなは深くやるっていう違う方向性にいってる感じだから。そうじゃなくて、最初から自分の投げるところの角度にしっかり入れるようにっていう話」
―2軍の若い選手を見ていて、どう感じたか
「練習はみんなするね。若い子は。言い方悪いけど、昔の人やったら、やることやったら帰るって感じやけど。でもしっかり練習はしてるけど、一個一個が長い。やる時間を決めてパパッてやればいいのに。みんな『早く終わって帰ってもやることないし』ってグダグダやっている感がある。メリハリっていうのは、もうちょい出した方がいいんじゃないかな、とは思うかな。暑いから、この時期は休憩ももちろん必要やし。グラウンドでの練習が終わって、ウエートやるまでにいったん休憩っていうのはありやけど、ウエートが始まったらダラダラやらずに、やることをパッとやればって。まあでも今の子はすごい練習するなっていうのはあるね。自分らで考えてやっているし。達なんかは、いろいろ考えながらトレーニングをやっているし、やっぱ今の子すごいなって、勉強にもなるよ」
―技術ある選手も多い
「プロに入ってるんやから、技術はあるって。試合していくうちに技術はコーチたちが教えてくれるんやから伸びていくし。自分たちでやらなアカンのは大元の基礎。基礎っていうのは監督、コーチから教えられるもんじゃないから。自分たちで土台はつくって、あとを細かく彫刻刀みたいな感じでやってくれるのが監督、コーチだから。その土台がきっちりできない子がちょっと多いかな。俺より走ってないのはアカンね(笑)。この期間は絶対俺が一番走っている自信がある。派手な練習は必要ないと思ってるから。(プロで)10何年やってきたけど、長く活躍してる人って走ってるよ。ホンマに走ってるわ。歴代を見ても」
―ファイターズの先輩だと
「(武田)久さんとかめちゃくちゃ走ってたし、(武田)勝さんとかも俺くらいの年でもバンバン走っていたからね。金子さんもめっちゃ走っていたし。長くやってる人って走ってる。走れるじゃなくて走ってる。やっぱ下半身を鍛えてる人、地味に鍛えてる人って強い」