【コロナからの夜明け】⑨ 制限下で生まれた札幌発の3ピースバンド・Chevon ボーカル谷絹「3人で上がっていければ人生として幸せ」

2021年6月に結成 表現力豊かなサウンドで注目集める
性別を超越した類いまれな歌声と、アグレッシブなバンドサウンドは、一気に観衆を惹きつける―。札幌発の3人組ロックバンド「Chevon」は、コロナ禍真っ只中の2021年6月に誕生。性別不詳のボーカル・谷絹茉優、ギター・Ktjm、ベース・オオノタツヤの3人による表現力豊かな楽曲は、すぐさま注目を集めた。初出演を果たした昨年に続き、今年も岩見沢で行われた7月の「JOIN ALIVE」に出演し、オーディエンスを熱狂させた。
初ライブも規制がある中で
Chevonはコロナ前の〝普通〟を知らないロックバンドだ。結成当初は感染拡大の影響で、ライブを開催することは難しかった。初ライブは年明けの22年1月。谷絹は「ライブが始まっても声出ししないのが当たり前だったし、お客さんも(ライブハウスの)キャパの半分。それがデフォルトの状態だった」と振り返る。
声出しが解禁された6月の2周年ライブは興奮のるつぼに
知らなかったからこそ、上積みしかなかった。時の経過とともに規制は緩和され、今年に入ると声出しが解禁に。「規制が緩和されて、今になってからコロナってやばかったんだっていうのが分かった感じ」と谷絹。今年6月に開催した2周年ライブはチケットが完売し、「ペニーレーン24」は興奮のるつぼと化した。「ドラムも聞こえないぐらい声が上がって、(曲の)始まりが分からなくなって、仕切り直したのが1回あった」と苦笑いしながら「人の声が集まると、こんなことになるんだ。あれが本当のライブなんだな」と胸を打たれた。当然、演奏する側の気持ちの乗りも違ってくる。Ktjmは「お客さんがすごい乗ってくれていると、こっちも動きたくなってくる。一緒に楽しむようなパフォーマンスに変わりました」と実感する。

「KALMA」のドラム・金田の紹介
3人の出会いは唐突に訪れた。配信などでソロ活動を行っていた谷絹と交流のあった「KALMA」のドラム・金田竜也が、バンドを組むことを勧めたという。そこで金田と同級生で高校時代にバントを組んでいたKtjmを紹介し、その後にオオノが加わった。Ktjmは「バンドを本気でやるか、やらないか迷いはあったけど、ボーカルの歌っている動画が送られてきて、これはやばいんじゃないって」と谷絹の歌声に一目惚れし、結成することを決意した。