《岩本勉のガン流F論》ファイターズの成長を象徴する全員ヒーロー。神懸かっていた新庄采配
■パ・リーグ15回戦 ソフトバンク4ー5日本ハム(8月4日、エスコンフィールド北海道)
勝利を導いたリリーフ4投手 攻めの投球でしのいだ
劇的な幕切れ。先発登板した上沢が尻上がりの投球で粘りを見せた。相手の主砲(柳田)に先制本塁打を浴びる反省点はあったものの、7回4失点で、自責点は2。今季の上沢を象徴するような粘投だった。
ただ、この日の主役はリリーフ陣。4投手がそれぞれ1回を無失点に封じた。攻める!しのぐ!攻める!攻める! 皆、攻めのピッチングができていたからこそ、厳しいシーンをしのぎ切れたのだ。
プロ初勝利の福田俊 シンプルな昨季までとの違い
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中でもプロ初勝利を飾った福田俊は新境地を披露した。フルカウントとなっても動じずに、3人で仕留めた。昨年までなら、四球を出してしまってもおかしくはなかった。今は自分に自信を持って投げられている。「きょうの俺は大丈夫か?」と自問することはない。シンプルにバッターと向き合うことができている。
成長続けるマルティネス 「やってもうた!」からのサヨナラ打
上沢を含めた投手陣の奮投もあり、最高のフィナーレが訪れた。試合を決めたのはマルティネス。直球に差し込まれ、変化球の鋭さに翻弄されていた、かつての姿はもうない。しっかりと日本球界で成長を続けていることを見せつけた。
カウント2―2からのフォークボールに手が出ず、「やってもうた!」の感じがあったが、判定はボール。フルカウントとなった。ここで直球を左翼へ。全球種待ちながら、ストレートに差し込まれない自分をつくれていたマルティネスに軍配が上がった。
巧みなベンチワーク 適材適所で送り出した控え選手
新庄監督、ベンチの采配、選手の残し方も神懸かっていた。十一回、先頭で四球を選んだ野村の代走にチーム一の俊足・五十幡を出すことができた。無死一、二塁となり、打席には途中出場の江越。見事に送りバントを決めた。そして代打に、まずは加藤豪。最後にマルティネスを送り、サヨナラ勝ちした。
全員が良い仕事 チームの成長を物語る
要所要所でのトピックスはある。だが、この日は全員が良い仕事をした。役者が自身の役回り通りの働きを見せる。それこそが一番、ファイターズが成長していることを物語っている。