《岩本勉のガン流F論》伊藤は今こそ、原点に立ち返るべき
■パ・リーグ16回戦 ソフトバンク11ー6日本ハム(8月5日、エスコンフィールド北海道)
ウイニングショットに苦心 目立った力任せの投球
伊藤が打線の援護をもらいながら、5回を投げきることなく降板した。体調の悪さは見られない。ではなぜ。2ストライクと追い込んだ後のウイニングショットに問題がある。いずれもコントロールを欠いていた。
体の状態が良い時ほど、力任せの投球になりがち。力感のある球で勝負したくなる。すると、球離れが早くなり、思いとは逆のボールが打者に向かう。伊藤のうなり声が何度も聞こえた。だが、声量にマッチするボールは来ていなかった。投手とは実に繊細な生き物だ。
4試合勝ちなし 復活に必要な組み立てとは
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これで4試合、勝てていない。いろいろなことができるピッチャーだからこそ、今こそ原点に立ち返るべきだ。まずはアウトコース低め。自らを窮屈な投球に追い込むコースへ投げる必要はない。
組み立てとしては、緩い球でカウントを稼いでからの落ちるボール。またはスピンの効いた、バットに乗せられないストレート。次回登板で、チームの信頼を取り戻してもらいたい。
アウトに「なってくれ投球」と「取ります投球」の差は歴然
この日は継投も裏目に出た。1点リードの六回、マウンドに登ったのは立野。2ランを含む3安打を許し、3点を奪われた。まだまだ修行中の立場。期待しての起用なのだろうが、勝敗の行方を左右する大事なタイミングで、力を発揮することができなかった。
続いて七回に登板の宮内も4安打3失点と打ち込まれた。2人に問いたい。何が自分の一番の武器か。一方で、八、九回は山本拓と玉井がきっちりと無失点に抑えた。アウトに「なってくれ投球」と「取ります投球」。その差は歴然で、相手バッターも当然、分かる。
2本塁打の野村が光明 〝強化指定トリオ〟に期待
これでソフトバンクと1勝1敗。すべてをチームの糧にするには勝ち越すしかない。そのための光明も見えた。野村が2本塁打を放った。2軍落ちの悔しさを吹っ切るだけのものを、しっかりとつくって再昇格してきた。清宮、万波と、ファイターズが誇る〝強化指定トリオ〟が揃って状態を上げてきた。期待は持てる。