野村 2打席連発でキャリア初の2桁本塁打 観戦の祖父に「元気な姿を見せられて良かった」
■パ・リーグ16回戦 ソフトバンク11ー6日本ハム(8月5日、エスコンフィールド北海道)
二、四回に観客を魅了する一撃 バッティング内容には納得
若きスラッガーには美しい放物線がよく似合う。日本ハムの野村佑希内野手(23)が5日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦に「6番・DH」で出場。二、四回に2打席連続の一発を放ち、キャリア初の2桁本塁打を達成した。節目の数字をクリアし「出ない人は長く(時間が)かかることもあるので良かった。これからまた伸ばしていけるように頑張ります」と控えめに喜びを表した。
第1打席は2階席へ運ぶ特大の一撃。2打席目は滞空時間の長い、高弾道の打球を左翼席へ運んだ。天性の素質を感じさせる2本のアーチを描いた背番号5は「1本目はかなり良い手応え。2本目もうまく打てたかな。試合に出られるか出られないか、一打席一打席が勝負。また出られない思いをしたくないので(気持ちを)切り替えながらですね」と、淡々とダイヤモンドを一周した。
家族思いの若き主砲 届けた2つの大きなプレゼント
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クールな表情の裏には強い覚悟を秘めていた。この日は群馬の実家から父と祖父が観戦に訪れた。祖父は高齢のため、頻繁に北海道へ足を運ぶことは難しい。貴重な機会に活躍を届け「もう1人では生活できない。体力的にも、もうエスコンに来られるかは分からない。なかなか会えないので、こういうところで打てて元気な姿を見せられて良かったです」。家族思いの23歳はゲームを終えて、ようやく硬い表情を崩した。
屈辱の2軍落ちを経験 好調維持も一喜一憂せず
悩める時間を過ごしたから、多少のことでは一喜一憂しない。今季は打撃不振に苦しみ、2軍落ちを経験。開幕戦で4番を任されながらも期待を大きく裏切る結果となった。当然、その事実を重く受け止めていた。
再昇格後はどれだけ快音を放っても「結果を出さないと意味がない。ホッとして良かったと思っている暇はない」と自戒の言葉を並べ続けた。
新ルーティンの早出特打 「打席への不安をなくしてから試合に」
決意は行動にも表れる。2軍に降格してから、自らに課すルーティンがある。チームの全体練習開始1時間前から必ず1人で特打を行う。主な取り組みはロングティー。フルスイングを繰り返し、迷いや焦りを一掃する。
「良い時こそ大ざっぱにいきすぎて悪くなりやすいので丁寧にやっています。たくさんチャンスをもらって、もう一度あの感じ(不振)になったら試合に出られなくなる。バットを振って頭を整理して、打席への不安をなくしてから試合に臨んでいます」
日々成長の若きスラッガー 結果、内容ともに意識
本塁打は野球の華。球場を熱狂させる一振りを、これからも追い求める。「打った打たないはすごく大事なことだけど、期待感を持てるような打席を増やしたい。そうなればもっと出るチャンスも増えるし、数字もついてくると思う」。近未来の主砲は日を追うごとに、たくましさを増していく。