二刀流ルーキー矢沢 8日の西武戦から1軍復帰 大谷とは違う独自の二刀流調整確立へ
■イースタン・リーグ17回戦 西武6ー7日本ハム(8月6日、鎌ケ谷スタジアム)
新庄監督が6日の試合後に明言 「次のカードから呼ぼうかな」
左手小指と右膝の負傷で2軍調整中だった日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(23)が8日の西武戦(エスコンフィールド)から1軍に再合流する。新庄剛志監督(51)が6日のソフトバンク戦(同)後に「(8日からの)次のカードから呼ぼうかな。とりあえずは野手で」と明言した。
好調なバッティング 投手としても上々の再スタート
打撃の状態は万全だ。3日の2軍ヤクルト戦(鎌ケ谷)では、2打席連続本塁打を含む3打数3安打2打点と大暴れした。投手としては6日の同西武戦(同)で実戦復帰。先発して1回を3者凡退に抑えた。
「けがした最初の頃は指の影響で、リリースにあまり力強さが出なくて、変化球が膨らむような感じがあった。きょうはスライダーも139キロ出ていたので、そこはだんだん良くなっている。前足(右)の膝の踏ん張りも、最初はかなり加減していたんですけど、ある程度、踏み込めるようになってきたので順調かな」と患部の不安を払拭した。
練習メニューの見直しを敢行 すべては二刀流で輝くため
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6月3日の巨人戦(東京ドーム)で負傷離脱。2軍に合流後、鎌ケ谷ではトレーナーやアナリストらスタッフとの〝二刀流会議〟が開かれた。プロの流れを経験した上で、どうすれば投打で力を発揮できるのか、矢沢なりの考えを伝えた。
「野手の練習を全部やって、さらにピッチャーの練習もやってだと、どうしても練習量が多くなりすぎて、正直、練習で(体力が)カツカツになってしまう。僕は体づくりも大事ですし、あまり運動量を上げすぎてしまうと体重も減ってしまう。ファームに来て、そういう僕が感じたことを話させてもらって、(スタッフも)確かにそうだよねって。省けるとこは省いて効率よく練習していこうということになった」と練習メニューの見直しが行われた。
常に試行錯誤 「より良いルーティンをつくっていきたい」
実戦復帰後は早速、他の選手たちとは一線を画す独自調整をスタートさせた。2本塁打を放った3日は、通常は全打者が行う試合前のフリー打撃に参加しなかった。
「わざわざ試合の2時間前にバッティングをする必要がないというか、別で時間が取れるならそうした方が、僕は良い準備ができると思いますという話をさせてもらった。その分、そこの(フリー打撃の)時間でピッチャーとしての時間を稼いで、キャッチボールをして、ドリルとかをやって、試合前練習は早めに上がって。あの日はDHだったので守備練習もなく、試合30分前に少し室内でスイングして試合に向かったら、かなり良い感じでゲームに入れました。体力的にも、集中力というところも良かった。そうやっていろんな練習方法を試して、これが当たり前という感じではなくて、より良いルーティンをつくっていきたい」
プロの慣例にも〝メス〟 負担軽減を最優先
さらに、プロ入り後からずっと疑問に思っていたことをスタッフにぶつけた。
「まず、キャッチボールを練習でやるじゃないですか。シートノック前にもキャッチボールをするので、2回やることになる。何で2回キャッチボールやるんですかって。プロの選手は当たり前なんですけど、僕の中ではそこは不思議だなってずっと思っていて、そこのキャッチボールを1回にできないですかって話をしました」。話し合った結果、練習でのキャッチボールを取りやめてシートノック前に〝一本化〟し、負担の軽減を図るメニューが組まれることになった。
出場パターンで変化 今年中の確立を目指す
「この間は、外野で出る時も練習中のキャッチボールを省いて、打撃、守備、走塁練習に入って、ゲーム前に軽くブルペンでキャッチボールをしました。立ち投げまでいかないですけど、傾斜の感覚を忘れないように。そこから外に出て少し距離を投げてシートノックに行ってみた。いろいろ試しながら今やっているので、それをこの1年で、例えばDHで出る時はこうとか、野手でスタメンで出る時はこうとか、スタメンじゃない時の練習はこうするとか、出場の仕方によって練習のルーティンが決められるようにできたらなと思っています」
矢沢が見据える〝シン二刀流〟 「新しいものをつくっている感じです」
球団には二刀流の第一人者、大谷を育てた経験がある。しかし、矢沢には全く当てはまらないという。「僕は守備にも就くし、先発ピッチャーでもないので、全く関係ない。新しいものをつくっている感じです」ときっぱり言い切る。
それでも「(投打)どっちもやることに対してすごくポジティブで、ここを省いたらいいんじゃないっていうことが、すごく気軽にできる。アナリストの方やトレーナーの方からも、ここを省こうかとか提案してもらえて、効率の良い練習がやれていると思います」と、日本ハムならではのメリットも感じている。
自身の成長とチームへの貢献 挑戦続ける二刀流ルーキー
8日からは1軍に戻り、再び矢沢流を極める挑戦を始める。常識に縛られない柔軟な発想で、チームに貢献するための最適解を見つけ出す。