今季加入後2度目の先発果たした札幌DF馬場 キックオフ11秒の失点に「全部プランが崩れた」
■J1第22節 鹿島3-0札幌(8月6日、茨城・カシマスタジアム)
出ばなをくじかれる手痛い一撃
約2カ月リーグ戦での勝利から遠ざかっている北海道コンサドーレ札幌は、3週間の中断期間を経て、その悪い流れを断ち切りたいところだったが、いきなり出ばなをくじかれる手痛い一撃をお見舞いされてしまった。
鹿島のキックオフで試合が開始されると、流れるようなパスワークに翻弄された。ボールを奪えない札幌の選手たちをあざ笑うかのように一気にゴール前までボールを運ばれると、MF樋口雄太(26)に右足でゴールネットを揺らされてしまった。キックオフからゴールまでに要した時間はわずか11秒。得点力に悩まされている最近の札幌にとって、非常に苦しい状況でゲームを進めなければならない展開に陥ってしまった。
試合前には全員で集中も 馬場「自分を含めて下を向いてしまった」
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2月25日の神戸戦以来、約5カ月半ぶりにスタメン起用されたDF馬場晴也(21)は「ああやって立ち上がりのファーストプレーで失点したら難しくなってしまう」と、痛恨の場面を振り返った。「鹿島も(試合の)入りから勢いがあるチームなので、試合前にみんなで『集中していくぞ』って気持ちを入れて(試合に)入っただけに、もったいない失点でした。全部プランが崩れましたし、声を掛け合っても、自分を含めて下を向いてしまっていました」。札幌はFW小柏剛(25)を中心に攻めるが、流れを取り戻すまでには至らず、逆に前半15分にはCKからDF植田直通(28)にヘディングシュートを決められ、追加点を献上してしまう。
後半は左サイドバックへポジション変更
馬場は後半開始から樋口をマークする形で左SBへポジションを移すと、何度もボールを前線へ持ち運ぶなど自身の持ち味を発揮。チームとしても後半は鹿島の6本を上回る8本のシュートを放ったが、なかなかチャンスを生かせないまま、後半22分に再びCKからFW鈴木優磨(27)に頭で決められて勝負を決定づけられてしまった。
「樋口選手をもう少し潰すことができれば」
札幌加入後初となるフル出場を果たした馬場は、自身のプレーについて「結果負けてしまったので、いい試合だったかといえばそうではなかったんですが、その中でも攻撃のところで裏へのパスだったり、自分は(ボールを)運べるので、運んだときにサイドチェンジのパスを何本か出すことはできていた」と攻撃面での手応えを口にした一方で、「守備のところでは、樋口選手をもう少し潰すことができればチャンスをつくることができたと思います」と振り返った。
ベテランGK菅野、宮澤主将の離脱で今季最大の逆境
これで札幌はリーグ戦6試合勝ち無し。初夏の時期までJ1で猛威を振るっていた攻撃力は、2日の天皇杯柏戦(三協F柏、0●1)を含めて公式戦3試合連続無得点と鳴りを潜めてしまっている状況だ。試合前にはGK菅野孝憲(39)の右足ヒラメ筋肉離れによる離脱がクラブから発表され、MF宮澤裕樹(34)も柏戦で右ふくらはぎを痛めた影響でこの試合を欠場。札幌に今季最大ともいえる逆境が襲いかかっている。
出場機会に恵まれなかった選手の下克上に期待
このような状況の中で期待したいのが、馬場のようにこれまで出場機会に恵まれていなかった選手の下克上だ。「自分がスタメンで出続けて勝利に貢献するのが、札幌のためにも、そして自分のパリ五輪のためにも必ず繋がってくると思います」と、ようやく巡ってきたチャンスを逃すまいと闘志を燃やしている。
馬場「サポーターからのブーイングは当たり前。早く勝利を分かち合いたい」
次節の鳥栖戦(12日)は、6月24日C大阪戦(1●4)以来約1カ月半ぶりの札幌ドームでの試合となる。「今日は試合後、サポーターからブーイングを受けましたが、それは当たり前のこと。早くサポーターと勝利を分かち合いたいですし、ホームなのでたくさんのファン、サポーターが来てくれると思うので。不甲斐ない試合は見せられないので、この1週間を大事にして、いい準備をして臨みたいです」。負のスパイラルから、なかなか抜け出せないでいるが、馬場にように、このピンチを出場機会増のチャンスと捉えてスタメン奪取に名乗りを上げる選手たちが、チームに活力を注入することができるのか。札幌ドームで共に勝利を分かち合うためにも、大事な1週間の戦いがまもなく始まる。