ファイターズ
2021/10/26 15:57

きょう26日札幌D最終戦 栗山監督感謝のラストタクト

10年間指揮を執った栗山監督がきょうのホーム最終戦で、本拠地最後の勇姿を見せる

 今季限りで退任する日本ハムの栗山英樹監督(60)がきょう26日、札幌ドームで行われる西武戦で本拠地ラストゲームに臨む。指揮官としては通算1408試合目。先発は監督就任の年に入団してきたエースの上沢直之投手(27)に託した。10年間を共に歩んだまな弟子の勇姿を目に焼き付けながら、地元ファンに最後のメッセージを届ける。

 10年間の監督生活に終止符を打つ日が近づいている。だが、栗山監督は感傷に浸ることはない。こみ上げてくるのは、反省ばかり。本拠地最終戦を控え「最後とか、個人的なものはどうでもいい話。俺がどう思っているとか、全然関係ない。選手を喜ばせてあげられなくて申し訳ない、というのはすごくある」と自らを責めた。
 ホーム最終戦の先発は上沢が務める。すでに規定投球回をクリアし、キャリアハイの12勝、防御率2.95をマークしていた。チームのBクラスが確定。指揮官は蓄積した疲労を考慮し「もう投げなくてもいいでしょ」と進言したが、本人は登板を志願した。
 意図せず、花を添えるように舞台が整った。人柄や能力にほれ込み、手塩に掛けて育ててきた教え子の心意気が、うれしくないはずはない。栗山監督は「物語として、そういうものだと思う」と、運命的な巡り合わせに目を細めていた。
 2012年にリーグ制覇、16年に日本一を成し遂げた。大谷の二刀流を実現させたほか、常識を覆す大胆な戦いを見せ、日本中を熱狂の渦に包み込んだ。
 北海道のファンの力が大きかったと振り返る。近年は期待に応えられず、心苦しかった。「陳腐かもしれないけど、本当に申し訳ない。コロナの影響でみなさんが苦しんでいる中で、少しは笑ったり元気になったり、喜んだりする機会をお届けする責任があった。でもそれができなかった」と自戒を込めた。
 レギュラーシーズンだけで1400を超える試合で指揮を執った。命を削るように、全身全霊で向き合った。「1試合たりとも1球たりとも気持ちが抜けているときはなかった。そんなに人間、必死にさせてもらえることはない。野球への感謝、選手への感謝しかない」。譲れない信念を貫き通した。
 退任が発表されたタイミングで、選手には自らの能力不足を謝罪し、激励の言葉を贈った。これ以上、後ろ髪を引かれることはない。「『ほな、さいなら』と笑ってみんなの前から去るのが一番だろ」。数々の足跡を置き土産に、歴戦の将は静かに身を引く。

まな弟子・上沢志願の先発マウンド

 恩師に白星を贈る。本拠地最終戦で上沢が先発する。お世話になった栗山監督のためにも、ふがいない姿は見せられない。「北海道のファンの前で、ホーム球場で指揮を執られるのは最後なので、何とか、みんなが笑って終われるような形で、気持ちよく送り出せるような状況にしたい」と意欲をたぎらせた。
 2019年と21年の開幕投手に指名されるなど、大きな信頼を寄せられてきた。シーズンの大半を棒に振る大けがも乗り越え、大黒柱となった。「心残りは、僕が胴上げできるタイミングで(1軍に)いられなかったこと。自分が成績を残したときに優勝に貢献できなかった」。たくましくなったエースは、10年分の感謝を投球に込める。

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