クラーク待望の聖地初勝利! 佐々木啓司監督、史上2人目3元号勝利を達成「本当にうれしい」【夏の甲子園】
■全国高校野球選手権第3日(8月8日、阪神甲子園球場)
▽1回戦 クラーク7-1前橋商(群馬)
1番・鈴木が2適時打
投打ががっちりとかみ合い、佐々木啓司監督(67)に大垣日大の阪口慶三監督(79)以来、史上2人目となる「3元号勝利」をプレゼントした。鈴木凰介左翼手(2年)が2本の適時打を放つなど7得点を挙げると、エース・新岡歩輝主将(3年)が1失点完投の好投を見せた。クラークとしても甲子園初勝利。佐々木監督にとっても夏の甲子園初白星の〝おまけ付き〟。「本当にうれしい」と喜んだ。
クラーク4度目の甲子園挑戦
2016年の夏、22年の春、そして今年の春と、いずれも初戦敗退。佐々木監督はことあるごとに「初戦突破」と口にするようになった。初出場から7年、ようやく聖地での1勝をつかみ取ることができた。冬はマイナス20度を下回ることもある極寒の地・深川で忍耐強く重ねた鍛錬が実を結んだ。駒大岩見沢時代から「昭和」「平成」そして「令和」で勝利を挙げた。
鈴木「監督さんに教えてもらって良くなった」
中盤まで我慢の展開が続いていたが、最後は相手のミスにも乗じて一気に突き放した。先制打とダメ押しの適時二塁打を放った鈴木は「持ち味の真っすぐに強いのを発揮できたのが良かったです」とニッコリ。「バッティングは監督さんに教えてもらって良くなった」と恩返しとなる結果を残した。歴史に名を刻んだ指揮官は「長くやってないと、なかなかできることではない。本当にうれしいですね」と胸を張った。
大会前にプールで一体感
大会前には気分転換を兼ねてプールに趣き一体感を強めた。学年別の行動だったが、麻原草太捕手(3年)は「なかなか3年生全員が集まって遊ぶことが久しぶりだった。みんなで競争したりして、とても楽しかったです。いい思い出になりました」とニッコリ。
OB平沢さん「それだけやってきた監督」
悲願の初勝利を願いOBも応援に駆け付けた。2016年のエース・平沢律さん(24)は「(今のチームは)レベルが高い。僕たちの代とは全然違う。力は付いてきている」と称えた。恩師の記念すべき1勝も目の当たりにし、「3元号勝利は過去に1人だけ。それだけやってきた監督」と白い歯を見せた。
人間力育成に尽力、ベンチ掃除も率先
「生徒指導が一番のポイント」と人間力育成に尽力する佐々木監督は、自らも率先して動くことが多い。7日の練習後もグラウンド整備やベンチ掃除をする姿が見られた。「やっぱり気になるからね。使ったときに次の人が『何で?』って言うような形がないように、失礼のないように後の人につなぐことは大事なこと」。
次の相手は佐々木麟太郎擁する花巻東
次戦は全国屈指のスラッガー・佐々木麟太郎(3年)を擁する花巻東が相手となる。「同じ名字の佐々木麟太郎くんがいる中で、どう避けるか。いい試合の流れになるように頑張りたい」と意気込んだ。北北海道勢としては2011年の白樺学園以来12年ぶり、北海道勢としても2016年の北海以来7年ぶりの夏の甲子園勝利。〝呪縛〟を断ち切ったクラークが、さらなる快進撃を期す。