《荒木大輔のズバリ解投》万波はここが踏ん張り時 さらなる成長に期待
■パ・リーグ16回戦 西武6-0日本ハム(8月9日、エスコンフィールド北海道)
決め球がなかったマーベル 苦労しそう
マーベルが来日初先発した。一言で評するならば、苦労しそう。決め球がないのが大きな要因だ。カーブやスライダー、チェンジアップを駆使していたが、ほとんどがツーシーム。このボールの特長を生かすことができていなかった。
生かし切れなかったツーシームの特長とは
直球に近いスピードで変化するのがツーシーム。いわば、結果をどんどん出すためのもの。早めにテンポ良く、打者を打ち取っていくのに適している。空振りを取るボールだけが、決め球ではない。
それを引っかけたりし、コントロールできていなかったため、逆球となってファウルされる。となると当然、球数は増えていく。四回まで無失点に抑えてはいたが、球数は65球を数えた。明らかに苦労している様子が見て取れた。
投げるたびに評価上昇の山本拓 使い勝手は抜群
一方で、またまた評価を上げたのが2番手で登板した山本拓だろう。ボールが強いから、ピンチを迎えた場面で送り出しやすい。この日もそうだった。0―3とされ、なおも2死二塁となったシーンでマウンドに上がった。イニングまたぎも問題なく、まさに使い勝手が良い。
相手に傾きかけた嫌な流れを断ち切れる存在はチームにとって心強い。伸び上がるようなボールの軌道は、なかなか他のピッチャーでは見られない。だからこそ、リリーフに適しているのだ。
心配な万波の状態 自ら乗り越えていくしかない
打線は西武の隅田に完封された。この日ばかりは相手左腕に、してやられた。そういう日もあるだろう。ただ、心配なのは万波。ここ最近、内容が良くない。体の軸を完全に崩されての空振りが目立つ。
打順も4番から6番となった。奮起してくれればいいのだが、どんどん気持ちが沈んでいけば、状態はさらに悪化する。技術面も精神面も、自ら乗り越えていかなければならない。中軸を打ち、責任感も増したはず。ここが踏ん張り時だ。さらなる成長に期待したい。