伊藤大海 好投の陰に先輩の助言「上沢さんのおかげです」 7回無失点で6勝目
■パ・リーグ19回戦 日本ハム9ー0ソフトバンク(8月12日、ペイペイドーム)
自身5試合ぶりの勝利 「寅威さんが良さを引き出してくれて」
久々に味わう勝利の喜びを、静かにかみしめた。日本ハムの伊藤大海投手(25)が12日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦に先発し、7回無失点の好投で今季6勝目を挙げた。7月4日以来、約1カ月ぶりの白星に「(伏見)寅威さんが良さを引き出してくれて、それを信じて投げました。たかが1回良いピッチングをしただけなので気を引き締めて、またしっかり準備したい」と柔らかな笑みを浮かべた。
リズムの良い投球に打線も応えた 14安打9得点で援護
108球の熱投で強力打線をねじ伏せた。序盤は走者を背負いながらも、要所で2つの併殺を奪いピンチを脱出。小気味良いリズムで投球を重ねると、味方打線が呼応した。四回に万波の2ランで先制し、五回には清宮、万波が2者連続本塁打。大量援護を得た背番号17はマウンド上で躍動し、スコアボードに「0」を刻み続けた。
「ちょっとかしこまるというか、丁寧に丁寧にと狙いすぎて置きに行っていた部分があった。コース関係なく、とにかく腕を振って強いボールを。後先考えず、目の前の1球を投げることを意識していた。自分の良さが出たと思います」
直球最速153キロを計測 昨季までと同じ2段モーションが奏功
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この試合では最速153キロを計測。投球フォームを昨季までと同じ2段モーションに変えたことで、直球の力強さがグッと増した。「長いシーズンでは毎日体が万全なわけではなくて、いろいろな(コンディションの)エラーがある中で戦わないといけない。きょうは本当にバランスが良かったと思います。狙い過ぎず、ゾーンに投げ込んでいく…イケイケどんどんです」と手応え十分の投球内容を、滑らかな口調で振り返った。
効いたエースのアドバイス 「自分の意図したボールを投げる」
復調の陰には、エースの助言があった。勝ち星に恵まれない日々を送る中で、ふとした言葉が琴線に触れた。「上沢さんがチラッと『先発投手はリズムゲーム、音ゲームをやっている感覚で音ハメしていく』みたいなことを言っていた。いつもは打者の特性を考えるけど、相手どうこうよりも自分の意図したボールを投げること。きょうはそれを体現できてテンポ良く投げられました。上沢さんのおかげです」と、好投のヒントをくれた先輩に感謝した。
これぞ伊藤大海のピッチング! さらなる飛躍へ再スタート
先発投手にとって、白星は何よりの清涼剤だ。伊藤は結果が出なかった時間を振り返り、「打たれたくて打たれていたわけではないし、テンポが悪くなりたくてなっていたわけでもない。向こうの選手もこっちも命懸けで戦ってるので、結果どうこうよりも自分がどうあるべきかを考えてきた。きょうは良い意味で勝負する土台に立てていたと思います」。頼れる右腕が、真夏の福岡で〝らしさ〟を取り戻した。