松本剛 今季初の中堅守備で美技披露「良いポジショニングができたと思う」
■パ・リーグ20回戦 日本ハム5ー3ソフトバンク(8月13日、ペイペイドーム)
2安打1打点1盗塁 三回にマルティネスの先制2ランをお膳立て
攻守にいぶし銀の輝きを放った。日本ハムの松本剛外野手(30)が13日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦に「2番・中堅」で出場。2安打1打点1盗塁の活躍で僅差の勝利に貢献した。守備では今季初めてセンターのポジションに就き、美技を披露。ゲームの要所で躍動し、チームを連勝に導いた。
チャンスメーク能力にたけ、勝負強さも併せ持つ。頼れる選手会長が陰の立役者となった。三回2死で迎えた第2打席は四球を選ぶと、すかさず盗塁。続くマルティネスの先制2ランをお膳立てした。
五回には技ありのタイムリー 新庄監督のサインともリンク
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2点リードで迎えた五回1死一、三塁の好機では、1球ごとに変わる作戦に見事、対応した。初球はセーフティバントの構えを見せ、ボール球を見極めた。2球目はヒットエンドランで、外角に大きく外れたボールに精いっぱい腕を伸ばしファウルで逃げた。迎えた3球目は『打て』のサイン。さらに集中力を高め、変化球を左前にはじき返した。
深い思考と円熟味を増した技術が大きな武器になっている。「自分でもボスの考えがある程度読めて、準備とリンクした打席になった。今年は読み過ぎて、うまくはまらないこともあった。でも、きょうは『初球、セーフティースクイズが出そうだな』という感覚があった。うまく対応できて良かったです」。ベンチの思惑を先読みし、最善のプレーを遂行すれば、自然と結果はついてくる。
守備でもファインプレー 出足鋭く今宮の打球を好捕
昨季中盤まで主戦場としていた中堅守備でも大きな見せ場をつくった。二回2死一、三塁。今宮の放った左中間への飛球に鋭く反応し、ランニングキャッチ。抜ければ複数失点が避けられない状況を、ビッグプレーで乗り切った。チームを救った超美技を「(中堅を)やる可能性はあると言われていた。久しぶりだったけど、自分でも良いポジショニングができたと思います」と自賛し、爽やかな笑みを浮かべた。
前日の休養欠場を〝挽回〟 「きょうは何とか仕事を」
酸いも甘いも、かみ分けた努力の人はいつだって危機感を忘れない。前日12日は首脳陣から休養を与えられ欠場。長いシーズンを戦い抜くためのプランだったが、本人の受け止め方は違った。「もちろん休養は必要だと思うけど、僕は出られる時はなるべく出て活躍したい。きのうは出られなかったので、きょうは何とか仕事をしてやろうという思いでした」と胸に抱く思いを言葉にした。
遅咲きの苦労人 厳しいプロの世界を熟知
2017年には規定打席に到達しながら、翌年以降は定位置の座を失った。そんな苦い経験を持つから、不動のレギュラーとなった今でも、貪欲に出場機会を求め続けている。「(怖さは)十分に分かっています。休んでいる間に他の選手が活躍したら、取られてしまう世界なので。休み明けも、きょうと同じ気持ちでやっていきます」。謙虚な選手会長は、いつまでも真剣に野球と向き合っていく。