キャリア最多4打点の郡司 〝母校対決が刺激〟「僕しか体験できない気持ち」
■パ・リーグ20回戦 楽天4ー10日本ハム(8月23日、エスコンフィールド北海道)
「3番・一塁」でスタメン 左へ右へ2度の満塁機でタイムリー
特別な夏のフィナーレに花を添えた。日本ハムの郡司裕也捕手(25)が23日、エスコンフィールド北海道で行われた楽天戦に「3番・一塁」で先発出場。3点差を追い付いた二回、なお2死満塁の好機で左前へ2点打を放った。その後も勢いは止まらず、三回にも右前へ2点打をマーク。キャリア最多の4打点を叩き出し、チームを大勝に導いた。
夏の甲子園ファイナルで「郡司対郡司」
後輩からの刺激をパワーに変換した。楽天戦が始まる4時間前。遠く甲子園では仙台育英と慶応が決勝戦の舞台に立っていた。仙台育英高ー慶応大と歩んできた郡司にとって、縁深い2校の対決。「実質これは郡司対郡司みたいなところがある。どっちが勝っても郡司が優勝」とユーモアたっぷりに表現していた。
試合前練習があるため、熱戦の模様はリアルタイムで見られなかった。それでも「何点取った!って周りが言ってくるので、自分で確認しなくても勝手に情報が入ってきました」と、常にゲームの途中経過を把握していた。
熱戦の末、慶応に軍配 「母校が優勝しました(笑)」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
結果は慶応が107年ぶりの優勝を飾った。郡司は、夏のドラマを演じきった2校をたたえ「グラウンドで躍動する両校の選手たちの姿に勇気をもらいました。母校は優勝を逃しましたけど、母校が優勝しました(笑)。僕しか体験できない気持ちですね」と、少しだけ誇らしそうな表情を浮かべた。
自身は3年時に準優勝 忘れられない夏を述懐
プロ野球選手としての土台を築いたのは東北の地で過ごした3年間だ。自主性を重んじる仙台育英の野球部は「全然、厳しくない。今は分からないけど、当時は練習メニューも自分たちで決めていました。かなり特殊な学校で基本的に楽しかったです」。理不尽な練習を強制されることなく、伸び伸びとした空気の中で長所を磨いてきた。
高校3年時には現ロッテの平沢らと共に、夏の甲子園で準優勝を達成。自ら考え、行動することで得た成功体験を、今でも鮮明に覚えている。「甲子園が終わって仙台に帰った瞬間、駅がものすごい人になっていてスター凱旋みたいな感じでした。警備員がバスまでの道をつくってくれて『すごく注目されていたんだな』って思いました。それが一番の思い出です」と青春の1ページを楽しそうに振り返る。
ファイターズの野球にもフィット 「すごく合っています」
「自分に任せてもらえる…。大学もそうでしたし、僕はそういうチームで野球をやってきた。だからファイターズが、すごく合っています」。選手の個性を尊重し、自主性を重視する。新天地のチームカラーは、郡司のスタイルによくなじむ。