鶴岡退団へ コーチ専念要請も現役続行を希望
日本ハムの鶴岡慎也捕手兼バッテリーコーチ(40)が選手として来季の戦力構想から外れ、退団の決意を固めたことが27日、分かった。球団から選手契約を結ばないと通告され、指導者専任となる2軍コーチ就任の要請を受けた。鶴岡は現役続行を強く希望。要請を断り、新たな所属先を探すつもりだ。新体制移行に合わせ、ファンに愛された功労者がチームを去る。
チーム最年長のベテランが悩んだ末に、大きな決断を下した。本拠地最終戦が行われた26日に球団から来季、選手として契約を結ばないと通達された。指導者としては2軍コーチのポストを提示され、慰留されたが、現役にこだわる鶴岡は固辞。選手を続けるため、退団して新天地へ向かうことを選んだ。
今季は12試合の出場にとどまった。スタメンマスクは4試合。打撃成績は18打数5安打、打率・278だった。清水、石川亮、宇佐見ら若い捕手を熱心に指導する傍ら、自身のトレーニングを継続。いつ1軍選手登録されてもいいように、準備は怠らなかった。
鹿児島出身で、樟南高、三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、2002年のドラフトで8位指名を受けて日本ハムに入団。事前にテストを受験し、合格を勝ち取った。プロ入り後も2年間は2軍暮らしで1軍定着は4年目。地道に努力を積み重ね、生きる道を切り開いた苦労人だ。
自らは黒子に徹し、献身的に投手を立てた。特に絶対的なエースだったダルビッシュから信頼され、輝きを放った。06年の日本一を含め、チームの黄金期を支えた。
13年オフにはFA権を行使して、ソフトバンクへ移籍したが、17年オフには再びFAで日本ハムに復帰。異例の出戻りだったが、北海道のファンから歓迎された。19年以降はバッテリーコーチを兼任した。
「僕を育ててもらった球団」と日本ハムに人一倍の愛着があり、近年は「ファイターズでユニホームを脱ぎたい」と胸中を明かしていた。しかし、今季限りの引退は受け入れられなかった。経験に裏打ちされた自信がある。現役生活19年。不惑の捕手は完全燃焼するため、グラウンドに立つ。