レバンガ北海道がU18内藤耀悠をスペイン留学 「日本が世界で戦っていくためには必要なこと」
世界ランキング1位スペインの1部リーグ・バレンシアへ
レバンガ北海道U18所属の3×3U18日本代表SF内藤耀悠(てるちか、北海道文教大附高3年)が、バスケットボール世界ランキング1位のスペインへ武者修行に旅立つ。期間は9月5日~11月2日の約2カ月間で、留学先はスペイン1部所属のバレンシア。内藤は8月26日の天皇杯北海道代表決定戦に出場後、同30日からハンガリーで行われるFIBA3×3U18W杯に出場し、そのままスペインに渡る。
身体能力、スペーシング、バスケットIQ高い
将来有望な道産子が単身バスケットボール王国で腕を磨く。留学は本人の強い希望で実現した。きっかけはU17W杯とU19の強化試合でスペインと対戦した経験だ。「スペインは身体能力が高い上にコートをうまく使ってスペーシングやバスケットIQが選手一人一人すごく高かった。日本が世界で戦っていくためには必要なことを、いま現在では世界ランキング1位のスペインがやっているのを試合をしながら見習いたいと感じた。2カ月と短い時間ではあるが、帰ってきてトップチームと合流した時に1試合でも1秒でも長くコートに立っていられるように成長して帰ってこられるように頑張ってきたい」と強い決意を口にする。
レバンガU15の1期生で入団し英才教育
191センチ、95キロ。クラブ生え抜きの将来期待の星だ。内藤はレバンガU15の1期生として入団し、U16アジア杯、U17W杯に日本代表として出場。23年6月にはU19W杯に選出。8月30日からハンガリーで開催されるFIBA3×3U18W杯日本代表にも名を連ねた。清永貴彦ダイレクター(49)は「世界でもトップリーグの一つと言われているスペインの強豪バレンシアで争って学んで、いろんなものを自分のものにして日本に戻ってきてほしい。彼の成長を期待している。戻ってきてまた活躍してほしい。チームとしても非常に期待しています」と送り出す。
国内では非常に珍しいケースだ。バレンシアは昨季まで所属したブロック・モータム(32)がプレーしたこともある歴史あるクラブ。2016-17年にシーズン1位になったこともある強豪だ。過去に高校生や大学生が夏休みを利用して、欧州や米国へ短期留学することはあったそうだが、清永ダイレクターは「内藤選手のような形で留学はあまりない」。今回の留学では下部組織への練習参加で選手契約などは一切ないそう。
高校もリモート授業で全面バックアップ
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現在高校3年生。来春には卒業が控える大事な時期だ。北海道文教大附高の佐々木淑子校長は「日本の宝、世界に羽ばたくバスケットボールの星として、スターになっていくことをみんなで応援していこう」と、機材を持参させてリモート授業を活用し単位取得を全面的に後押しする。
昨季Bリーグにユース育成特別選手で3試合出場
昨季は高校2年でBリーグ初のユース育成特別枠選手に登録。16歳10カ月19日で当時の最年少出場記録を打ち立てるなど、3試合に途中出場。合計7分14秒コートに立ったが無得点に終わった。「通用した部分は正直ないと思っている。オフェンス、ディフェンスを含めた個人スキルとチームのバスケットIQをこの2カ月で成長したい」。スペインから帰国後は、昨季同様に育成特別枠でロースター入りする予定。「桜井選手やベテラン選手の振る舞いをすごく見て学びましたし、練習でも自分のことで精いっぱいだと感じた。今年は練習や試合で自分のこと以外もカバーしながら、しっかり自分を見いだしていきたい」。希望を受け入れてくれたクラブのためにも実りの多い留学にするつもりだ。
「できるだけ早いタイミングでA代表に入れるよう」
将来はフル代表を目指す。会見が行われた同日、沖縄でW杯が開幕した。「できるだけ早いタイミングでA代表に入れるように、どんどんうまくなりたい。世界で戦うためにはそこを勝ち取らないといけない。日本も年々レベルが上がってきている。その中で競争を勝ち抜くのは厳しいとは思うが、早いうちに(代表)キャンプに入ったり、そういうところも含めてやっていけたら」。見据える視線はすでにクラブの枠を大きく飛び越えている。
26日の天皇杯北海道代表決定戦出場後、渡欧
26日にはU18の一員として天皇杯の北海道代表決定戦に出場する。2日間競技だが、2日目はハンガリーへの移動で欠場する予定。北海道バスケットボール協会によると道内の高校世代が本大会へ出場した実績は過去にない。「1つ勝てば2試合ある。次につながるようにしっかりチームのために頑張ってきたい。僕がいなくても勝ち抜ける自信はコーチにもあると思う。そこに期待をしながら楽しみにしています」。2カ月後、どこまで大きくなって帰国するか17歳の挑戦が今から楽しみだ。