スピードスター五十幡 足で奪った決勝内野安打 俊足の基礎は幼稚園時代の〝ぐるぐる巻き特訓〟
■パ・リーグ20回戦 日本ハム4ー3西武(8月27日、ベルーナドーム)
2ー2の六回2死三塁 確信のタイムリー内野安打
ただのサードゴロも、この男にかかれば決勝タイムリーだ。日本ハムの五十幡亮汰外野手(24)が27日、「2番・中堅」で先発し、自慢の足でチームを勝利に導いた。2ー2で迎えた六回2死三塁の好機で、三塁線への適時内野安打をマーク。打球の勢いは強く、西武の三塁手・平沼もミスなくさばいた。それでも、球界最速の呼び声も高い韋駄天(いだてん)は、あっという間に一塁を駆け抜けた。
「まずは何とかバットに当てることを考えた結果、自分の持ち味を生かした最高のヒットになった。(打球が飛んだ瞬間)これはいけるなと思いました」
塁上でも持ち味発揮 けん制悪送球で二進
塁に出てからも、超特急は止まらない。まずはリードでプレッシャーをかけ、けん制悪送球を誘って二塁へ進むと、続く清宮の中前打で一気に生還。躍動感あふれる好走塁に「自分らしいプレーができたと思います」と胸を張った。
父とつくり上げた快足 「フォームを矯正してもらった」
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生まれ持った才能だけで、足が速いわけではない。まだ幼稚園児だった頃、父・雅弘さんと取り組んだ〝ぐるぐる巻き特訓〟が、俊足の基礎をつくり上げた。
「しっかり腕が縦振りになるように、ひもで縛られたんです(笑)。上腕と体をグルッとくくり付けて、絶対に腕が横ぶりにならないように、縦にしか振れないようにされて走っていました。ちっちゃい頃の走り方はクセになるので、その頃にフォームを矯正してもらったのは大きかったと思います」
父への感謝を胸にグラウンドに立つ 残るリーグ27戦へ気持ち新た
昨年、腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けるか悩んだ際、真剣に相談に乗ってくれたのも雅弘さんだった。幼少期には「両親がマナーにうるさくて、鉛筆の持ち方、箸の持ち方、礼儀にはしつこかった。父親とは小学校の時に野球のことでケンカして、出てけって言われて、家の鍵を閉められて、めちゃくちゃ蚊に刺されたことがありました(笑)」。ぶつかった思い出もあるが、「自分のことを本当に考えてくれている。ありがたいです」と、今では心を込めて、育ててくれたことに感謝している。
チームは最下位を脱出。7月15日以来の5位に浮上した。シーズンは残り27試合。「1軍で活躍することが、父への恩返しになると思う」。親孝行を誓う五十幡が、これからもダイヤモンドを駆け回る。