公式戦デビューのルーキー安西 1回1失点も「投げられたことがうれしい」
■イースタン・リーグ15回戦 楽天6-0日本ハム(9月1日、鎌ケ谷スタジアム)
ドラフト4位の高卒1年目 独特なフォームで最速145キロ
長い我慢の末に、ようやく〝デビュー〟を果たした。日本ハムのドラフト4位ルーキー・安西叶翔投手(18)が1日、2軍楽天戦で公式戦初登板。六回に登板し、1安打2四球で1失点を喫したが、最速145キロを計測した直球を軸に予定の1回を投げ抜いた。
「リラックスしてマウンドに上がれました」
「自分のピッチングをすることを意識して、気持ち的には思ったよりもリラックスしてマウンドに上がれました。結果は不本意なところもあるんですけど、ケガが治って、まずは投げられたことが素直にうれしいです。1イニング投げ切れて三振も1つ取れたので、及第点かな。2アウトまでは良い形で投げられた。そこからぐらついてしまったので、次はしっかり3人で抑えたいです」
鎌ケ谷のファンから温かい拍手で迎えられ
8月20日に行われた青学大との練習試合で実戦を経験したが、プロ同士の対戦は初めてだった。鎌ケ谷のファンから温かい拍手で迎えられて六回のマウンドに上がった安西は、スリークォーター気味の独特なフォームでテンポ良く力強いボールを投げ込んだ。先頭の正隨を直球で二ゴロに仕留めると、続く渡辺佳からは得意のフォークで〝プロ初奪三振〟。2死から2四球を与え、永田に中前適時打を許したが、最後は入江を中飛に打ち取って踏ん張った。
新人合同自主トレ中に腰痛を発症 「絶対に焦らないこと」が共通認識
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1月の新人合同自主トレ期間中に腰を痛め、ルーキーイヤーは出だしからつまずいた。それでも、「絶対に焦らないこと」が首脳陣と安西自身の共通認識だった。「まずは痛みをなくすところから。『ゆっくりでいいから、焦らず治してくれ』と言われていたので、その通りにさせてもらった。痛みがなくなってからキャッチボールをして、ピッチングをしてっていう感じです」。試合で投げたい気持ちをこらえ、痛みが完全に消えるまで体づくりに専念した。筋力トレーニングと食事で、体重は入団時から5キロ増。「自分でもデカくなったなと思います」と胸を張った。
2軍調整中のレジェンド左腕には「今のうちに姿を見て学びたい」
プロ入り後、多くの先輩たちから刺激を受けてきたが、やはり鉄腕は別格だ。現在2軍調整中で、同じグラウンドに立つ宮西に憧れのまなざしを向けている。「マウンドでの姿は、レジェンドだなと思いますね。雰囲気もありますし、長年マウンドを守ってきて、偉大で尊敬できる投手。すごいなぁという感じです。間近で見られることはなかなかないと思うので、今のうちに姿を見て学びたい」と力を込めた。
「将来はどこでも任せてもらえるような投手に」
木田2軍監督は「きょうに関しては、公式戦で投げてアウトも取れた。それで十分」とこの日の登板を評価しつつ、「独特の腕の振りで、140キロ後半が投げられる。来年は試合で定期的に投げられるように、体力をつけてもらえたら」と期待を寄せた。今季、チームの新人投手では最も遅い初登板となったが、勝負はこれからだ。若き右腕は「自分は全てにおいてまだまだ。1年目はしっかり土台をつくって、将来は1軍で先発、中継ぎ、抑え、どこでも任せてもらえるような投手になりたい」と先を見据えた。18歳の未来には、無限の可能性が広がっている。