2軍で再出発の吉田輝星 一睡もできなかった降格直後の夜「自分に何が足りないのか考えていたら目がバキっと」
■イースタン・リーグ16回戦 楽天0-4日本ハム(9月2日、牛久)
2軍楽天戦で1回1安打無失点 「0点は絶対条件。しっかり考えながらやっていきたい」
もう、落ち込んではいられない。日本ハムの吉田輝星投手(22)が2日、2軍降格後初登板に臨み、楽天を相手に1回1安打無失点と好投した。8月31日の1軍ロッテ戦から中1日で迎えた再出発のマウンドを上々の内容で終え、「0点は絶対条件として、ファームだから試せることもある。きょうは新しく右バッターに対してシュートを使った。良い反応が出ていたので、練習していきたい。もう一回、自分に何が足りないのかしっかり考えながらやっていきたい」と力を込めた。
8月25日に今季初1軍昇格も1週間で逆戻り
やっとの思いでつかんだ1軍の舞台は、はかなく終わった。高卒5年目の今季は春先から調子が上がらず、試行錯誤を重ねて8月25日にようやく初昇格。同日の西武戦では1回3者凡退2奪三振の完璧な投球を見せたが、その後の2試合はいずれも失点を喫し、1週間で2軍行きを命じられた。
31日ロッテ戦後は1軍の宿舎へ
悔しくないはずがない。降格が決まった8月31日の夜。すでに部屋が予約されていたため、鎌ケ谷に戻らず1軍のチーム宿舎に泊まった。午後11時半ごろ到着し、翌日の2軍練習に備えてすぐにベッドに入ったが、どうしても眠ることができなかった。「僕は普段、布団に入ったら10分は遅い方で、5分ぐらいでパパッて寝ちゃうタイプなんです。だけど、この日はごろごろ、ごろごろして、何回体勢を変えても寝られなくて」。
「もっと投げられた」「最大値は」「この球種を」「もっと球が強ければ」…早朝から練習へ
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頭の中は、〝どう雪辱を果たすか〟でいっぱいだった。「『もうちょい、こういうボールを投げられたよな』とか、『自分の最大のパフォーマンスをいつも出せているのかな』とか、『こういう場面で打たれたけど、この球種をここに投げられたら』とか、『もっと球が強ければな』とか、これから活躍するために、自分に何が足りないのかなって考えていたら目がバキっとなってきて、あんまり眠くなくなっていました。野球のことばっかり考えていたら、だんだん外が明るくなってきて、まぶしって感じでした」。一睡もできないまま、早朝から練習に向かった。
北山からは「何であのボールで。めっちゃ良くない?」
翌1日の練習メニューは「自由でいいよ」と首脳陣から一任されていたが、キャッチボールとランニングを通常よりも多く行うなど、強度を高めた。「フォームの不安もあったので。たまたま北山さんがキャッチボールを見てくれて、何であのボールで(打たれるのか)。めっちゃ良くない? って言ってもらえた。練習しないと気が済まないんです。良いピッチングができなかったのは、自分の練習が足りなかったから。その(悔しい)気持ちの晴らしどころは、練習しかないので」。今はとことん野球に打ち込むことが、一番の精神安定剤だ。
今年は積み重ねの大切さを実感 「ガンガンやるしかないですね」
少しずつではあっても、前に進んでいる手応えがある。「今年、だいぶ悪い状態から、ちょっとずつコツコツやって、だいぶ戻すことができて1軍に呼んでもらえるまでなった。積み重ねが大事だなっていうのを、今までよりすごく感じるようになりました。2軍ならトレーニングして体をつくりながら試合に出ることもできる。それで球速が上がったらベストだし、ガンガンやるしかないですね」と笑顔を見せた。眠れぬ夜を超えて、ここからまた一つずつ、理想の投手になるための試練を乗り越えていく。