ファイターズ
2023/09/03 21:25

2軍で8戦連続無失点の2年目左腕・長谷川 実は中学でバスケ部 好調の要因は〝桜木花道メンタル〟

1回を完璧に抑え、8試合連続無失点をマークした長谷川(撮影・近藤裕介)

■イースタン・リーグ17回戦 楽天2-1日本ハム(9月3日、TOKIWAスタジアム龍ケ崎)

ラスト九回に5番手で登板 好調示すパーフェクト投球

 花道流〝天才メンタル〟で再昇格をつかみ取る。日本ハムの長谷川威展投手(24)が3日、2軍楽天戦に5番手で登板し、1回を3者凡退に抑えた。8月8日の同ロッテ戦から、8試合連続無失点。結果が出ている要因を「気持ちです。ちゃんと明確な根拠がある上での、気持ちの持ち方」と自己分析した。

 「腕が振れなくて、自分の球じゃない球で打たれていると、課題がちゃんと見つからない。しっかり自分の球を投げられる準備をして打たれる分にはいい。調子が悪い時、フォアボールを出したりすると、球場の雰囲気におされたりするんですけど、場におされないように。自分の球で打たれたら、その課題にしっかり向き合うという意識は常に持っています。その意識が今の結果につながったと思います」

声出しで復調 きっかけは大学時代に履修のスポーツ心理学

 6月に2軍降格後、調子が上がらない日々を過ごした。ある時、ふと思い出したのが、金沢学院大時代に履修していたスポーツ心理学だった。「スポーツ健康学部で、ゼミの先生が心理学だったんです。心理学的には、声を出すことで闘争心が出てくるらしい。それを思い出して実践してみました」

 7月30日の同オリックス戦で試すと、いきなり1回を3者連続三振に斬った。「この試合でつかみました。それまでは『自分、調子悪いな』って思いながら投げてしまっていた。調子が悪くても、とりあえず元気を出す感じで、無理やり『うあー』って頑張って声を出したら良くなりました。今は毎球ではないですけど、ヤバいなっていう時に、おされているのをはね返すイメージで声を出しています」と効果を実感している。
 

1回を完璧に抑え、8試合連続無失点となった長谷川

 

自己暗示もルーティン 試合前に「いける」を連呼

 試合前のルーティンにも、メンタル強化術を取り入れている。「自分で思っていなくても、『いけるいけるいける』って思い込ませています。声には出さないんですけど、頭の中で『いけるいけるいけるいける』って。虚勢を張ることも大事。できるって思い込ませて、自分をだましています」。自分に〝うそ〟をつくことで、投球の内容も〝うそ〟のように向上した。

追い求める桜木花道のメンタル 「すごいうらやましい」

 理想のメンタルの持ち主がいる。大人気バスケ漫画「スラムダンク」の主人公・桜木花道だ。素人ながら自身を天才と称し、強敵にも全く臆さない姿に憧れている。埼玉県の桜木中に在学していた時は、短期間ながらバスケ部に所属していた。「桜木中なので、花道にちなんで、やっぱバスケ部やなって。自分は天才だっていうあのメンタルは野球でも大事ですね。だいぶアホというか、抜けているところも人として強い。あのメンタリティーはすごいうらやましいです」と笑顔を見せた。

諦めたら、そこで試合終了 残るシーズンも全力投球

 大卒2年目。今季は1、2軍合わせて35試合に登板。「去年けがして、コンディショニングの大切さは身に染みて分かっているつもり。これだけ投げさせてもらって、ケアもちゃんとやれば、このくらいの試合数は重ねていけると分かったので、これはこれで収穫」と力を込めた。

 シーズンは残り1カ月を切ったが、「もちろん1軍に行きたいですし、行けても行けなくても、最後まで諦めずにしっかり戦い抜きたい」と意気込んでいる。諦めたら、そこで試合終了。2軍にいても「天才ですから」と胸を張り、自信満々に腕を振り続ける。
 

1回を完璧に抑え、8試合連続無失点となった長谷川

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい