時の流れを実感する。台湾の大王こと王柏融が９日、３０歳の誕生日を迎えた。試合前の練習に合わせてグラウンドに出てくると、チームメートやスタッフに「おめでとう」と声をかけられ、笑顔でグータッチを交わしていた。

　２０１８年１２月。台北の五つ星ホテルで日本ハム入団会見が行われた。２０代半ばの彼は緊張感を漂わせながらも堂々と振る舞い、当時、在籍していたラミゴの関係者、ファンも温かく移籍を後押しした。日本トップ選手のメジャー挑戦に似ていて、スターの旅立ちを祝福するようなムードがあった。

　あれから５年。日本で３０歳を迎えた王に心境を尋ねた。「これまで通り、平常心でやっていくだけです。３０歳になったからといって、変化することはない。練習も試合も全て積極的に取り組み、集中してプレーしていきます」。来日後のキャリアは試練の連続だったが、ストイックに野球と向き合ってきた。昔も今もスタンスは同じ。謙虚に前へ進もうとする強い意思が、伝わってきた。