《岩本勉のガン流F論》スーパー全力投球に感じた加藤貴の違和感
■パ・リーグ22回戦 西武7ー2日本ハム(9月9日、エスコンフィールド北海道)
明らかに違った投球スタイル まるで若手サウスポー
いつもの加藤貴とは明らかに違った。それが顕著だったのが三回だ。8番の古賀に先制弾を浴びたシーン。フルカウントからの8球目。勝負球は高めに浮いた。中村に許した3ランも同様だ。カウントこそ2―2ではあったが、仕留めにいったボールが制球できていなかった。
追い込んでから、まるでパワーピッチャー、若手サウスポーのような全力投球。ボール先行も目立ち、結果球のコントロールをことごとくミスする。こんな彼を見るのは初めてかもしれない。そこには「のらりくらり」の表現がピッタリの〝らしさ〟はなかった。
これまで披露してきた加藤貴らしさとは
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ゆったりとしたフォームで、リリースの瞬間にグッと力を入れる。ここ一番でも、周りが不気味に感じるほど、平常心を崩さない。フルカウントで、ストライクからボールになる球を投げられる勇気を持ち、針の穴に糸を通すようにポンっと、実に軽く勝負球を放って見せる。それが今までの加藤貴だったはずだ。
プレーボール直後に思わず『あれっ!?』
違和感、いや不安は、いきなり表れていた。試合開始直後だ。1番の源田を迎えた場面。追い込んでから、直球で空振り三振を奪った。それが、まるで別人のスーパー全力投球。解説しながら思わず、「あれっ」と声を出してしまった。
求められるのはただ一つ 自分のリズムを思い出すこと
肘の張りで一度、登録抹消となった。そして2日連続の降雨中止でスライド登板までも流れた。イレギュラーな調整を強いられたのだが、肘の不安が残っていたならば、逆に好都合だったはずだ。全力投球をしなければいけない状態にあったのか。この日の投球を見る限り、問題はなさそうだ。いずれにしても、加藤貴に求めるものはただ一つ。自分のリズムを取り戻してもらいたい。
個々の成長は実感 二遊間に見たレギュラー固定の必要性
スコアブックを見返すと、実に二遊間への打球が多かった。そこでふと感じた。西武の二遊間は外崎と源田。日本ハムは日替わりで山田と奈良間。今季もなかなかレギュラーの固定化ができなかった。各ポジションのエキスパートはどれだけいるだろうか。名前が浮かぶのは松本剛と万波ぐらいだ。
この日の敗戦で、優勝の可能性は完全になくなった。個々の成長は確かに進んでいる。だが、来季、優勝を手にするためには、新庄監督も口にしてきたように、二遊間を筆頭にしたレギュラーの固定が必要だろう。