就任2年目の新庄監督 V公約を達成できず「実力がないということ」
■パ・リーグ22回戦 西武7ー2日本ハム(9月9日、エスコンフィールド北海道)
優勝の可能性が完全消滅 チームは7季連続のV逸
野望は、はかなく打ち砕かれた。日本ハムは9日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦に敗れ、優勝の可能性が消滅した。2016年を最後に、7季連続でリーグ制覇から遠ざかっている。新庄剛志監督(51)は、就任2年目のV公約を達成できず「仕方ない。実力がないということで。まあ、これからですよ」と悔しさを押し殺した。
シーズン序盤から狂った歯車 ケガ人続出で苦しい台所事情
人心を掌握するカリスマ性を持っていても、短期でチーム強化するのは難しかった。勝負に絶対はなく、不確定要素がいくつも絡み合う。春先の故障者続出がチームに影を落とした。
開幕ローテーション入りしていたポンセと金村、抑え候補の石川が相次いで離脱。主砲の清宮も左脇腹を痛めて抹消された。バックアップメンバーも次々に負傷。指揮官は「一気に16人もケガをした。たら、ればになってしまいますけど、あれなかったらどういう戦いをしてたか…」と誤算を嘆いた。
1、2軍の入れ替えにも影響 新庄監督「ストレスはめちゃくちゃあった」
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実際、現場では選手の入れ替えに関して弊害が起きていたという。「あの選手を呼びたいと(フロントに)言ったら、(2軍の)ゲームができないと。そのストレスはめちゃくちゃあった。『そっちも考えないといけないの?』というのは、正直ありました」
期待の若手と新戦力が台頭 徹底マークに苦しむ主力
22年のトライアウトを経て、勝ちにこだわる23年を迎えた。FA移籍した近藤に匹敵するような大型補強はなく、個人成績の上積みが肝だった。実際、万波が20本塁打、64打点でタイトルを争う水準まで進化。新外国人のマルティネスや中日からトレードで加入した郡司は勝負強さを発揮し、機能している。
ただ、昨年の首位打者に輝いた松本剛や主砲候補だった野村は厳しいマークの影響もあり、数字を落としている。124試合を消化し、チーム打率は.235。1年前の同時期は.233だった。
上々の投手力 課題は接戦での勝負強さ
投手陣に目を移すと、田中正が守護神に定着。先発陣も奮闘し、チーム防御率が3点台半ばから3点前後へ改善した。接戦は確実に増えた。現時点で46試合が1点差決着。その内訳が16勝30敗となっている。
課題は明白。緊迫した展開でいかに勝ちきるか―。新庄監督は「土台はできてきたと思うし、あまりひけは取っていないような気がするんですよね、よそのチームと。いい勝負をしている。紙一重というところはすごく感じます」と一定の成果を認めた。
まだまだ発展途上も確実に進むチーム改革
それでも、時間が足りなかった。指揮官が掲げた2年計画は練り直しを余儀なくされ、世代交代が進むチームの改革は道半ばだ。「去年は子どもでしたからね。今年は高校を卒業して、世に出て行くような感じにはなってきていますから」と冗談交じりに例えたが、本音は少し違う。
理想形は見えている。「強いチームは、どっしり監督が座って見守る。作戦なんかいりませんよ、というチームになるためには、経験して自信をつけて、結果を出してくれるのを待つ」。失敗を繰り返しながら高度な思考を植え付けてきた。近い将来、必ず花開くと信じている。