鎌ケ谷発企画「待ってろエスコンF」 第5回は松本遼大投手
20年の育成ドラフト1位 高卒3年目右腕の現在地
2軍で泥にまみれながら己を磨くダイヤの原石たちにスポットを当てた企画「待ってろエスコンF~鎌ケ谷チャレンジャーズの今に迫る~」。近い将来、新球場のスターになる可能性を秘めた若きタレント候補の現状を掘り下げる。不定期連載の第5弾は、20年育成ドラフト1位の高卒3年目・松本遼大投手(21)。今季中の支配下昇格を逃した今、何を考え、どんな日々を過ごしているのかを聞いた。
自ら絞り込んだテーマ 下半身主導のピッチング
―シーズン終盤に調子を上げている
「毎年、後半に良くなるので、育成の立場の僕は、本当はこれを春先からできるようにしていないといけない。来年に向けて、この感覚をなくさないようにしたいです」
―今年意識して取り組んできたことは
「僕は入団した時から、周りにプロのすごい選手がいるので、いろいろ聞き過ぎてしまうところがあった。いろんなことを取り入れすぎてしまうクセがあるので、去年まではいろいろやろうとし過ぎて、フォームを固められなかった。今年は自分の投球動画をスローで見て、5つに分解して、ここはこういう動きをすればいいっていうのを突き詰めて、自分で考えながらやってきました。今はやることを1本に絞って、下半身主導で投げるということだけを意識している。そうすることで安定感が出てくるって後半になって分かって、ようやくフォームが固まってきたと思います」
肉体改造・強化に成功 食事管理も徹底
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―昨季から変化した部分は
「体がとにかく大きくなりました。3、4月ぐらいから増量して、91キロぐらいだった体重が98キロぐらいまで増えました。脂肪を減らして、筋量が増えたので、良い体づくりができていると思う。去年は直近の試合で結果を出すことを意識してしまって、ウエートも体に少し張りがあったら、あんまり上げないようにしていたんですけど、今年からは長期的なことを意識して、張りがあってもやるようにしている。食事は揚げ物を取らないこと、タンパク質を多く取ることだったり、プロテインを飲むタイミングまで、いろいろ調べてトレーナーさんにも聞いて、徹底的にやってきました」
野球ノートを作成 練習の質向上に一助
―一日のタイムスケジュールは
「基本、試合があってもなくても朝は6時から6時半には起床して、目が覚めたらグラウンドの周りを30分散歩して、シャワー浴びて食事です。白米を食べるために、しょっぱいものを取りたくなるんですけど、朝は決まったものを食べるようにしています。鮭、ブロッコリー、納豆。タンパク質を取れるように必要なものを食べて、練習に向かいます。昼は卵をたくさん食べて、ウエートをする時もあります。ウエートは午後2時ぐらいから1、2時間。夕食前までで空いた時間はなるべく寝る。夕食後は、少し部屋で映画を見たり、ニュースを見たりして時間を空けてからウエートルームに行って、ストレッチをやります。9時には部屋に戻って、10時から10時半には寝ています。あとは毎日ではないんですけど、野球ノートを作っているので、取り組んでみて良かったことを見つけた時に細かくメモを書くようにしています」
コブクロ、ミスチルがお気に入り 読書でメンタル強化
―休みの日は何をしているか
「夕方に裸足で、グラウンドの芝の上を歩くのが好きです。1時間ぐらい体を伸ばしたりしながら歩いていると、リフレッシュできるんです。音楽を聞きながら。洋楽も聞きますし、コブクロとかミスチルとかもいいですね。ミスチルだと『くるみ』が一番好きです。あとは同期の細川に影響されて、読書もするようになりました。今は、野球のメンタルについての本を読んでいます」
落ち込んだ支配下見送り 今川の言葉に救われた
―今年で育成3年目。7月末の期限までに支配下に上がることはできなかった。どう気持ちを切り替えたか
「期限は意識していましたし、当然、落ち込みはしましたけど、ここで気持ちを切らしたら、絶対に来年はないと思ったので、その後からギアを入れ直して取り組みました。その成果が今、出てきていると思います。あと、大きかったのは、期限が切れた次の日ぐらいに、同期の今川さんが声をかけてくれたことです。『ここからやることが大事だぞ。見ている人はいるから、気持ちを切らさないで頑張れ』って練習前に言ってもらった。もしかしたら、落ち込んでいるのが表に出てしまっていたのかもしれない。その言葉のおかげで、気持ち切らさずに頑張ってこられている部分もあると思います」
課題は球速アップ 意識する一球の大切さ
―1年ごと、成績は向上している
「取り組んでいることの成果は出てきていると思いますけど、まだまだ全然です。直球はアベレージで150キロを投げられるようになりたい。今、最速は152キロですけど、カウントを取りにいく時に140キロ中盤になってしまうことも多くて、1軍ではその一球をホームランにされてしまう。一球の大事さを意識して、常に150キロが投げられるように練習していきたい」
春季キャンプでの猛アピールを宣言 「オフに鎌ケ谷でしっかり走る」
―来季以降のビジョンは
「オフに鎌ケ谷でしっかり走って、春に圧倒的な、進化した姿を見せてキャンプからアピールして、開幕1軍にいられたら最高ですね。将来は先発でも中継ぎでも抑えでも、与えられたポジションで代えの効かない、ずっと1軍で使ってもらえる投手になっていたいです。エスコン、いいですよね。エスコンに行けば、お世話になった人にたくさん見てもらえると思いますし、その中で結果を残していけるように、まずは支配下昇格に向けて頑張りたいです」