新庄マジック 二回2死から意表を突くセーフティーで先制 3連勝導く
■パ・リーグ22回戦 ソフトバンク1-6日本ハム(9月17日、エスコンフィールド北海道)
2死一、三塁からのサインをルーキー奈良間が決めて先制
日本ハムの新庄剛志監督(51)が17日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦で、奥の手を繰り出した。二回2死一、三塁。ベンチが選択したセーフティースクイズを、ドラフト5位ルーキーの奈良間大己内野手(23)が決めた。均衡を破る先制点で勢いに乗り、3連勝を呼び込んだ。
打席の奈良間に不安はなかった。カウント1―1から意表を突くセーフティーバントのサイン。三走が生還しても、自らが生きないと得点にはならない。定石とはかけ離れた高難度の作戦だったが「決めてやるぞという気持ちですね。そんなにびっくりはしなかったです」と落ち着いていた。
左腕・和田は一塁に投げられず
高めの直球をきっちり三塁側へ転がした。先発していたベテラン左腕の和田が急いでマウンドから降りてくる。ゴロの捕球を試みたが、もたついて一塁に投げられず。結果的にタイムリーバント内野安打となった。
新庄監督「右ピッチャーだったらサインは出していない」
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いちかばちかではなかった。指揮官はいくつかの情報を瞬時に分析し、算段を立てた。「(三塁手の)リチャードくんが後ろに下がっていた。(左利きの)和田くんは(一塁に投げる場合に)捕って回転しないといけない。エスコンは、打球の転がり方が難しい」。期せずして、成功率を上げる材料は揃っていた。さらに、繊細な投手の心理に触れ「一、三塁というところで、慌てて悪送球ということもある。(一塁に送球しやすい)右ピッチャーだったらセーフティーのサインは出していない」と明かした。
ベンチで満面の笑み
思惑はピタリとはまった。会心の先制劇にベンチの新庄監督は満面の笑みを浮かべた。これで主導権をつかむと、打線に火が付き、一気に押し切った。
監督就任1年目の2022年は失敗も覚悟の上で奇襲を再三、検証してきた。今季はリスクを精査し、多用はしてこなかった。ただ、積み重ねた訓練と多様な戦術に備える意識は、生きている。絶妙なベンチワークと度胸満点の実践力―。貴重な1点を奪う過程に新庄野球の神髄が、凝縮されていた。