引退発表の木村 2軍ラストゲームで古巣相手に二塁打
■イースタン・リーグ22回戦 西武10ー9日本ハム(9月19日、鎌ケ谷スタジアム)
六回に代打出場 両チームのファンから盛大な拍手
鎌スタ〝最終戦〟で、快音を鳴らした。今季限りでの現役引退を表明している日本ハムの木村文紀外野手(35)が19日、2軍ラストゲームに臨み、代打出場した六回に左翼線への強烈な二塁打を放った。相手は古巣の西武。スタンドでは両軍のファンから「ありがとう」の声が飛び交い、温かい拍手が送られた。
「うれしかったです。コールされた時に結構、拍手してもらっているなって、すごい聞こえましたし、西武側の人も僕の応援歌を歌ってくれていた。変な感じするなと思ったんですけど、ああやって球場全体で応援してもらって、最後に鎌ケ谷での試合を終えられたので良かったです」
2球目のストレートを左翼線へ
引退決断後の初打席。斉藤大と対戦し、カウント0ー1から2球目の直球を引っ張った。打球は左翼線ギリギリで弾み、二塁へ到達。笑顔を見せたが、「斉藤(大)もたぶん、気を使って真っすぐを投げてくれたので、ファウルにするんじゃなくて、早めに結果を出そうと思った。その結果がヒットになって良かったなと思います」と後輩を思いやった。
打席ではいつでも真剣勝負
九回、無死二塁の好機で回ってきた2打席目は空振り三振に倒れた。西武ベンチは総立ちで拍手。しかし、木村は真剣すぎた。「向こうに頭を下げないといけないっていうのは分かっていたんですけど、三振がすごく悔しすぎて、気付かずに今まで通り、普通に戻って来ちゃった」。ベンチ手前でチームメートらに促されて、われに返り、慌てて一礼。「1打席目で代わっておくべきでしたね」と苦笑いだ。
けがに泣いた今季 木田2軍監督「復帰するたびに状態が良くなっていた」
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今季はけがに泣かされたが、木田2軍監督は「復帰するたびに状態が良くなっていて、結果も出していた。リハビリをしっかりやっていたということ。ありがたかった」と真面目な取り組みに感謝する。
木村自身も「今年、1回も(1軍に)呼ばれなかったですけど、もう一回、1軍の舞台で勝負したいって気持ちが強かったので、リハビリも頑張れました。呼ばれて上がった時に結果を出したいと思って練習してきたので、リハビリ明けにファームで結果が出たことは良かったと思います」と胸を張った。
鎌ケ谷での濃密な時間 「若いエキスをもらって楽しく過ごせた」
1軍に上がるため、若手たちと必死に白球を追った鎌ケ谷での日々は、心にしっかりと刻まれている。「楽しかったですね。1軍でやるっていうのが、プロ野球人としてはベストだと思います。ここで若い子たちと一緒に野球をやって、いろんなことを聞いてくる子もいるので、そういう子たちに教えている自分がいると、年取ったんだなっていう感じもしました。でも、若いエキスをもらって、本当に楽しく毎日、過ごせました」と優しい笑顔で振り返った。
20日には1軍でのラストゲーム 西武戦で幕を閉じるプロ17年
別れの時はやってくる。20日に、思い出の詰まったベルーナドームで古巣の西武戦に出場予定。これが、1軍ラストゲームだ。「(日本ハム在籍は)2年間でしたけど、宮西さんはじめ、あとは後輩ですけど、本当にみんなよく接してくれて、楽しかったです。2年以上いるんじゃないかっていうぐらいの感じがします。良いメンバーで野球ができた」と仲間に感謝し、「僕、ホームランを狙って打てたことないんです。普段通りいきます」と意気込んだ。
用意された晴れ舞台。それでもきっと、17年間プロで戦い続けてきた35歳は、最後もチームの勝利のためにバットを振る。