大学・社会人野球
2023/09/20 21:30

【札幌6大学野球】星槎道都大・滝田 最速150キロでNPBスカウト陣に最後のアピール

星槎道都大の滝田が札幌大戦で先発し、八回途中2失点と好投した(撮影・十島功)

■札幌6大学野球秋季リーグ戦 第2節第5日(9月20日、札幌ドーム)

 星槎道都大4-2札幌大

序盤から全開 4年間の集大成見せる7回⅔6安打2失点(自責1)

 不安を一掃した。星槎道都大のプロ注目左腕・滝田一希投手(4年、寿都)が札幌大戦に先発し、7回⅔6安打2失点(自責1)の快投を見せた。大学最後の公式戦登板が濃厚。NPB6球団のスカウトが見守る中、最速150キロをマークするなど〝ラス投〟でのアピールに成功した。注目のドラフト会議は10月26日。背番号1がプロ入りの扉を開ける。

負傷明けで不調だった15日北大戦から修正

 4年間の集大成を見せるべく、序盤から全開だった。一回、先頭に二塁打を許すなど、いきなり1死三塁のピンチを背負ったが、札大の中軸を左飛、見逃し三振に仕留めた。二回にはこの日最速の150キロを記録。負傷明けだった15日の北大戦では3回2安打4四球1失点と不安定な投球だったが、この日は見事に修正。六回には1失点を喫したが、終わってみれば八回途中2失点でチームに勝利をもたらした。

八回途中2失点と好投した星槎道都大の滝田

 

「9割以上は苦しいことばっかりだった」

 「最後の登板だったので、4年間やってきて、いろんな感情があった。最後に良いところを見せて終われたんじゃないかなと思います。4年間の9割以上は苦しいこととか辛いことばっかりだったので、最後もいろいろ思い出しました」

各スカウトも絶賛

 バックネット裏から視察した楽天の後関昌彦スカウト部長(60)は「真っすぐが良い。投げっぷりも良いし、(一塁側からの)角度もある。そこが一番良いところ」と評価した。4年間見守ってきた中日の八木智哉スカウト(39)も「(前回の投球から)修正能力もある。今年1年でも良い投球。1軍で投げられるレベルだと思います。楽しみです」と目を細めた。

2枚看板を背負った伊東と切磋琢磨

 ここまで成長できたのも、切磋琢磨できた存在が近くにいたからだ。同じくプロ志望届を提出した伊東佳希投手(4年、旭川北)とは共に1年時からベンチ入りし、2枚看板でチームをけん引してきた。伊東も滝田の存在を「良きライバルで良きチームメート」と一目置く。主戦となる3年春のリーグ開幕前には、北広島市内にある竹山高原温泉に2人で訪れた。将来のことやチームのことなどの話に花を咲かせ、プロ入りという目標が明確になった。

原因不明の左でん部痛から第2節に復帰 13日にプロ志望届提出

 その後も順調に階段を上り、プロ注目左腕まで駆け上がった滝田。しかし、この秋は不完全燃焼だった。6月に原因不明の左でん部痛に襲われた。調整のめども立たないまま、秋季リーグ戦は開幕。第1節はベンチ入りすることなく、スタンドから戦いを見守るしかできなかった。何とか慎重な調整を重ねて、無事に第2節での復帰を果たし、13日にプロ志望届を提出。12球団OKの姿勢ではあるが「地元の日本ハムは行きたいと思いますし、エスコンで野球がやりたい」との本音も覗かせた。

寿都の無名選手が全国区へ

 最後は今の実力を存分に披露。「一番印象に残っているのは初登板。全然下手なピッチャーだった。あれがあったからここまで成長できた」。寿都では無名の存在だったが、星槎道都大に進み、この4年間で「滝田一希」の名は全国まで広がった。あとは運命のときを待つだけだ。

八回途中2失点と好投した星槎道都大の滝田

 

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