夏季スポーツ
2023/09/23 21:35

【高校ラグビー北北海道大会】遠軽が8年ぶりの花園に王手 100点ゲームで旭川工業を撃破 

攻守で活躍した遠軽プロップの星(中央)(撮影・村本典之)

■全国高校ラグビーフットボール大会北海道予選(9月23日、札幌・定山渓BBG)
▽北大会準決勝 遠軽102-0旭川工業

プロップの星が5トライを決めて2年ぶり決勝進出

 花園王手―。南北準決勝4試合が行われ、それぞれ決勝カードが決まった。北大会は遠軽が102-0で旭川工業を下し、2年ぶりの決勝に進出した。FW陣は7月から朝練を行い、スクラムやラインアウトを強化。プロップの星樹音(3年)が5トライを奪うなど成果に現れ、新チーム初の100点ゲームで8年ぶりの優勝に王手をかけた。決勝は10月1日で、初めて札幌ドームで開催される。

初めて行われる札幌ドームでの決勝を一番乗りで決めた

 時折激しく振りつける雷雨の中、遠軽が終始、試合の主導権を握ったまま旭川工業を圧倒。札幌ドーム〝一番乗り〟を果たした。ナンバー8の須貝亮太(3年)は「決勝の会場が札幌ドームって決まった時から、札幌ドームでラグビーするっていう同じ方向を向いてずっと練習してきた。まず、その目標を達成できた。次は花園っていう、ずっと遠軽がかなえられなかった目標をかなえるステージに立てるので、今は率直にすごくうれしいです」と、声を弾ませた。

星は2年半で20キロの増量に成功

 破壊力抜群の攻撃の中心は、ベンチプレス115キロを挙げる、169センチ、97キロの星だ。チーム最多の5トライをマーク。入学当時は77キロだったが、1日に米5合をたいらげる〝食トレ〟で、2年半で20キロの増量に成功。ベンチプレスも55キロ増え、当たりに負けない分厚い筋肉のよろいを身につけた。「5トライは初めてで、気持ちいい。良いアタックとディフェンスができた。雨だったので、ライン幅を狭くしたり、近場でたくさんポイントをつくったりっていうことを気をつけました。無失点で抑えられたのが一番大きくて、プラス攻撃で100点を取れたのが、大きかった」と、流れる汗を拭った。

毎朝40分間の朝練でスクラム強化

 攻撃力アップの秘訣は、FW陣だけ今年7月から始めた毎朝40分間の朝練だ。関西の強豪・京都成章高出身で元FWだった竹下恋コーチ(27)の指導の下、スクラムマシンを相手に、低くて強いスクラムを磨いてきた。「きょうはしっかりタイトに組めた。けど、もっともっと良くならないと」。決戦まで残り1週間、さらに朝練で鍛え抜く。

元々のナンバー8・山田が右膝前十字靱帯断裂

 アクシデントを一丸で乗り越える。チームの大黒柱・ナンバー8を務めるはずだった山田真生(3年)が8月の支部予選で、右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。代わりに須貝が守備の要としてチームをけん引している。「彼もずっとチームを引っ張ってきて、すごい悔しい思いしてるのは自分でもすごく分かっている。試合中、きつい時とか、相手に押し込まれてる時も、彼の気持ち考えてやれば、何かすごい足が勝手に動くじゃないですけど、力になる。花園行って一緒にラグビーしたいです」。山田は手術を終え、リハビリ中。仲間の思いも背負い、戦い続ける。

決勝の相手は2年前の決勝で惜敗した旭川龍谷

 花園まであと1勝。4年前、W杯が行われた札幌ドームで初の決勝が行われる。相手は2年前の決勝で惜敗した旭川龍谷に決まった。須貝は「ずっとそこを見てやってきた」。チームのスローガンの「スマッシュ」は相手を粉砕するという意味。遠軽が強敵を打ち砕き、札幌ドーム初代王者に名を刻む。

スクラムで懸命に押し合う選手たち

 

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