先制フェン直二塁打の細川 集中のスイッチは「パンパン」
■パ・リーグ23回戦 日本ハム1-3楽天(9月24日、楽天モバイルパーク宮城)
未来への期待を抱かせた若手ホープ
今季の終戦が決まった試合で、若手のホープが未来への期待を抱かせた。日本ハムの細川凌平内野手(21)が24日、楽天戦に「2番・三塁」で先発し、三回2死一塁から右中間フェンス直撃の先制適時二塁打をマーク。「2アウトだったので積極的に、後ろに良いバッターがいっぱいいるので、何とかチャンスを拡大できるようにという気持ちで打席に入りました。1打席目は全部変化球でストライクを取られていた。同じようにやられないように意識して、良い結果になって良かったです」と会心の一打を振り返った。
昨季は結果が出ずに自問自答
いつでも前向きに野球と向き合ってきた細川だが、昨季は人知れず悩んだ時期があった。取り組みと結果が結びつかず、2軍では69試合に出場して打率.162。グラウンドにいる間は「落ち込んでいる姿を人前で見せるのは、自分が慰めてほしい気持ちがあるから。試合中とかみんなの前でマイナスな面を出していいことは全くない」と、周囲に気を使わせるそぶりは一切見せなかったが、「今まで(アマチュア時代)は正直、そんなに打てないことってなかったんです。なので、どうやってこれを切り替えていけば良いか、一人になったときに、気持ちをどう消化して次の日に向かえば良いかが分からなくなっていました」と本音を明かした。
転機はふらりと本屋に立ち寄ったこと
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そんなとき、ふらりと本屋に立ち寄ったことで、転機が訪れた。「僕は本を見るのが好きで、ネットで買うより本屋さんに行くようにしているんです。パって見て直感で選ぶんですけど、そのときに目に入ってくる本は、結構今、自分が悩んでいることだったりする。そういうのも大事にしています」。このとき目に飛び込んできたのは、「メンタルトレーニング」の文字だった。
メンタルトレで実践する〝音出しルーティン〟
実践的な本を数冊購入し、さっそくトレーニングを開始した。「いろんな人のメンタルトレーニングの本、スポーツ選手用みたいなものがあるので、それを読んで毎日実践しています。笑顔をわざとつくったら脳が錯覚するとか、試合に向かうときに集中するための呼吸とか。あとは、試合前に音で集中のスイッチを入れることをよくやっています。(手を2回強く叩いて)パンパン。それをスイッチにして、集中する。ただ頭で集中しようと思うだけではどうしても変わらないところがあるので、パンっていう音をきっかけにする。試合始まる前に、ベンチ裏でやっています」。この日も〝音出しルーティン〟を実行し、打席で快音を響かせた。
いかに変化を恐れずに進化していけるか
逆境にいても、成長するためのプロセスを楽しむのが細川流だ。「僕は本当に野球好きなので、毎日どうやったらうまくなれるか、どうやったら変化できるか考えている。変化を恐れずに進化していけるかを、自分の一つのテーマにしています。いろいろ試して、自分を実験台にして自分の反応を自分で研究している。本当に楽しいですよ。プレッシャーからは逃れられないので、プレッシャーも楽しむ。楽しんで努力している人には誰もかなわないので」。
いつまでたっても大事なこと
今季はポストシーズン進出を逃したが、すでに来季への戦いは始まっている。「順位が決まるとか決まらないとかは関係なく、143試合ある中で、1軍であっても2軍であっても日々やるべきことは変わらない。最後まで自分ができる精いっぱいのプレーを全力で準備してやりきることが、今後何年たっても、いつまでたっても大事なことだと思うので、そこは変わらずやっていきます」。目指す高みへ、1日たりとも無駄にはしない。