《荒木大輔のズバリ解投》体に強さが備わってきた田宮 「1番・万波」は、あり
■パ・リーグ24回戦 楽天9ー1日本ハム(9月25日、エスコンフィールド北海道)
答えがない投手交代 伊藤の九回続投は間違いではない
続投の経緯は分からない。ただ、好投を続けてきたピッチャーがラスト九回に打ち込まれるケースはよくある。先発した伊藤が1―1の九回に5失点し、10敗目を喫した。八回を終えた時点で、球数は119球。スタミナ切れは十分に考えられる。
だが、八回。2番からの好打順を3者凡退。しかも最後は4番の浅村を見事なインコース直球で見逃し三振に切って取った。本人の意思かは別にして「九回も任せよう」と決めた首脳陣の選択は決して間違いとはいえない。それだけ、投手交代とは難しいものだ。
敗れはした それでも「らしさ」を披露した道産子右腕
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敗れたとはいえ、伊藤は随所に「らしさ」を披露した。調子自体は決して良くなかったはずだ。立ち上がりから、ボールにバラつきがあり、高かったり、逆球もあった。それでも、だ。一回に先制点を献上したものの、二回以降は要所をしっかりと締めた。
いつも絶好調な投手などいない。そういう時こそ、どういうピッチングをすべきか。浅村への内角直球しかり、チェンジアップやスライダーでカウントを稼いだりと、試行錯誤しながらゲームをつくった。そこは先発投手として評価できる。
両チームに存在した難しい「代え時」
九回、楽天が勝ち越したシーン。1死満塁で、楽天ベンチは炭谷に代えて銀次を打席に送った。そして好投を続けていた田中将をスパッと7回で降板させた。伊藤の続投も含め、両チームともに「難しい代え時」が存在し、今回ばかりは楽天に軍配が上がったということだ。
マー君から本塁打の田宮 自信になるはず
プロ初本塁打を放った田宮は見事だった。もともとミート力があり、器用なバッター。しっかりと振り抜けば、今回のようなホームランも打てる。体に強さが備わってきた証拠だ。百戦錬磨のマー君から打ったことも自信になるはずだ。肩の強さとスピードは持ち味。さらなる成長に期待したい。
ボール球を振らなくなった万波 著しい成長
本塁打のタイトルを争っている万波にも言及したい。より打席に立たせたいという新庄監督の親心もあるだろうが、「1番・万波」は、ありだ。もともとの長打力に加え、ボール球を見極められるようにもなった。投手の立場からすれば、ゲームのスタートで対戦するのも、下位打線からつなげられ、迎えるのもプレッシャーがかかる。それだけ彼の成長は著しい。ぜひ、タイトルを手にしてもらいたい。