今季ラスト登板の伊藤大海 駒大苫小牧の先輩・マー君と投げ合いも九回に力尽き10敗目
■パ・リーグ24回戦 楽天9ー1日本ハム(9月25日、エスコンフィールド北海道)
プロ入り後最多139球 熱投も九回に5失点
日本ハムの伊藤大海投手(26)が25日、楽天戦(エスコンフィールド北海道)で駒大苫小牧高の先輩・田中将大投手(34)と初めて投げ合った。プロ入り後自己最多139球の熱投を見せたが、九回途中に力尽き、10敗目を喫した。
今季最後のマウンド。持てる力をすべて出したという伊藤の表情は、すがすがしかった。「出し切ったというか、最後出ちゃったかな、というのはありますけど。九回のマウンドに上げてもらったのはすごくうれしかったですね」
新庄監督からの〝激〟に発奮 試合前に突然…
八回を投げ終えた時点で球数は119球。「七回、ゲッツーになった時に(首脳陣と)一回、話し合って」と、最後までマウンドを譲るつもりはなかった。
試合前、右翼付近でキャッチボールをしていると、新庄監督が突然やって来て「きょう9回いくよ」と声をかけられた。「びっくりしましたね」と驚かされたが、粋なメッセージに気持ちが奮い立った。
あこがれの先輩とマウンドで初競演
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特別な試合だった。ずっと背中を追いかけてきた田中将と、プロ3年目で初めて投げ合いが実現。「勝負自体を楽しみにはしていた」と思いはひとしおだった。野球を始めた小学生の頃、夏の甲子園で駒大苫小牧が全国制覇を達成。エースとしてけん引した右腕に憧れ、「あのユニホームを着たい」と入学を決めた。
高校の恩師・佐々木監督も述懐 「将大とかぶる」
1年秋には田中将も背負った15番をもらい、翌春のセンバツ甲子園出場に貢献。背番号1として、たくましく成長した伊藤の姿に、駒大苫小牧の佐々木孝介監督は「自分の表現の仕方が、表に出るようになったのが3年生の時。そういうのが将大とかぶる」と当時を振り返る。
記念すべき初対決 伊藤「田中さんに引き出してもらった」
この日、田中将は7回1失点で降板となり、伊藤は「ちょっと先に降りられてさみしかったですけど」。メジャー経験もある先輩右腕と投手戦を繰り広げ、「落ち着きというか、どっしり投げている。勝負どころのボール球だったり、カウントを取りにきた球の使い方というのを勉強させてもらいながら投げていた。きょうは田中さんに引き出してもらった部分がすごく大きかった」と感謝した。
魂の投球 指揮官も感動「将来、ファイターズのエースに」
先輩より長くマウンドに立ったが、1―1の九回に3点を失ったところで降板。ベンチ前で真っ先に出迎えた新庄監督から「お疲れ」とねぎらわれた。
「彼は将来、ファイターズのエースになってもらわないといけないピッチャー。負けはしましたけど、素晴らしいピッチングをしたしね。ちょっと感動をもらえました」。指揮官の言葉の通り、魂のこもった139球の熱投だった。