高卒5年目の田宮裕涼がプロ初本塁打 鉄腕・宮西が見いだした名捕手たちとの共通点とは…
■パ・リーグ24回戦 楽天9ー1日本ハム(9月25日、エスコンフィールド北海道)
1点を追う六回にプロ第1号 記念すべき一発はマー君から
日本ハムの田宮裕涼捕手(23)が25日、楽天戦(エスコンフィールド北海道)に「9番・捕手」で先発出場。1点ビハインドの六回に、田中将大投手(34)からプロ初本塁打をマークした。
高卒5年目で飛び出した待望の一発を「感触は良かったです。プロでホームランを打てるとは思ってなかった。すごい投手から打てて、とてもうれしいです」と初々しく振り返った。
リクエストの末に 記念球は両親へ
二塁ベース上で半信半疑のまま、審判のコールを待った。快音を残した打球は、右中間フェンス最上部に当たり、グラウンドへ跳ね返っていた。新庄監督はすかさずリクエストを要求。リプレー検証の結果、判定が本塁打になると、ようやく表情を緩めてダイヤモンドを半周した。
「僕的にはツーベースだと思っていて、監督が出てきたので『まさか?』と思いました。入ってくれて良かった。今年はファームでも1本しか打っていなかったので、まさかエスコンで打てるとは…。記念球は両親にあげたいです」
厳しいプロの世界 成長期し助言求める
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高卒5年目。まだ若手と呼ばれる年代だが、厳しく険しいプロの現実を見つめてきた。同期や年下の選手でさえ、戦力外通告を受ける実力主義の世界。募る危機感を行動力に変え、雲の上の存在である鉄腕へ、積極的にアドバイスを求めた。
鉄腕も姿勢を高評価 「組んだら毎回、聞いてくる」
心の成長を証言するのはベテラン左腕の宮西だ。「去年くらいから(バッテリーを)組んだら毎回『僕はこうしたかったけど、どうでしたか?』と聞いてくるようになったね。俺からは『ここで何をやったら一番アカンか』っていうのを教えてる。配球は各投手とのコミュニケーションが大事。鶴岡さんも(大野)奨太や市川、高橋信二さんもすごく大事にしていた。だから投手陣も投げやすくて、成績が出ていたわけやから」。かつての名捕手たちが歩んだ道を今、田宮も順調に進んでいる。
万波や野村… 同期組に負けじと歯を食いしばってきた
万波や野村ら同期入団の選手たちが次々と頭角を現す中で、地道に技術を磨いてきた。「同じ高卒野手でも、入った時から体の大きさも全然違って、僕は絶対、出遅れる感じだった。その中でも、しっかり自分のできることをやって、いつか追い付きたいなと思っていた。ちょっとは追い付いてきたのかな」。スター候補たちの陰に隠れていた原石が、少しずつ光沢を帯びてきた。