今季限りでの現役引退を発表している日本ハムの谷内亮太内野手(32)が26日、エスコンフィールドで引退会見を行った。11年間のプロ野球選手生活を振り返り、支えてくれた人たちへの感謝を口にした。27日のロッテ戦が現役ラストゲームになる。一問一答は以下の通り。
ー(自ら口を開き)
「本日はお集まりいただき、本当にありがとうございます。今シーズンで引退することを決めました。ここまで11年間、いろいろな人に支えられて、ここまでやり切れたと思います。本当にありがとうございました」
―引退を決めた理由は
「いろいろ考えた結果、この決断に至りました。やっぱり7月に2軍に落ちてから、1度も1軍に上がれませんでしたし、成績も現実として戻っていなかったですし、いろいろなことを考えて引退することにしました」
―けがや体の不調は
「全然ないです」
―引退について相談は
「相談はいろんな方にしましたけど、自分が最初に相談、報告したのは妻です」
―言える範囲で、どんなやり取りがあったか
「『お疲れさま』と最後は言っていただいたので、気持ち良く次のステージに進みたいなと思います」
―プロ野球生活を振り返って
「正直、苦しい時だとか、つらい時期の方が多かったですし、自分でもよくここまでなんとかやってこられたなと思いますし。日々、頑張っていたことが11年間という期間につながったかなと思います」
―印象に残る試合や打席は
「節目でいったら昨年、ペイペイドーム(7月10日ソフトバンク戦)でゲームセットのアウトをしっかりサードで取れたこと。ああいう抜けたら同点、逆転となる場面(2死満塁)で最後のアウトをああいう形(三遊間へのゴロをダイビングキャッチ)で取ることはなかなかないと思うので。日々、練習してきた成果が出た場面だったかなと思います」
―日本ハムでの過ごした日々はどうだったか
「やっぱりファイターズに来てから、1軍で試合に使ってもらいましたし、サヨナラを打ったりだとか、ヒーローインタビューを受けたりだとか、プロ野球生活での良い思い出が多いなと思います。充実した5年間だったと思います」
―新庄監督とのやり取りは
「先ほどあいさつして、『お疲れさま。ありがとう』と」
―あした(27日)はファンにどんな姿を見せたいか
「ぶざまな姿は見せないように、しっかり準備して臨みたいなと思います」
―最後に見せたいプレーは
「とにかく全力で僕はやるだけだと思いますし、特別な感情がないわけではないですけど、普段通りにしっかり準備してプレーしたいなと思います」
―今後について
「現時点では何も決まっていないです。しっかり現役をやりきって、また考えたいなと思います」
―今後も野球界に携わりたいか
「それは現時点ではもちろん。やっぱり野球界で何か仕事ができたらいいなと常に考えていたことなので、そういうところも含めてまた考えていきたい」
―入団当時から考えると11年間は長かったか
「僕はやりきったなと思います。正直、入った時はプロで10年間やれるとは本当に思っていなかったですし。何度も『今年で終わりなんじゃないかな』っていう時もあったので、そういうのを考えると、よくここまでやってきたなと思います」
―プロ野球界で一番の恩人は誰か
「一番は正直、決められないですね。やっぱり使ってくださった監督しかり、教えていただいたコーチの方しかり、誰一人欠けていたら今の僕はないと思うので、感謝したいですね」
―後輩たちに伝えたいことは
「やっぱり、誰しもいつか辞める時はくると思うので、その時に後悔がないように毎日、頑張ってほしいですね」
ーここで、日本ハムOBで谷内ともプレー経験のある鶴岡慎也氏が記者に扮してサプライズ質問
鶴岡「お疲れさまでした」
谷内「ありがとうございます」
鶴岡「ユーティリティー性ある守備力に定評があるが、守備とバッティング、どちらが好きか」
谷内「実際ですか?」
鶴岡「もう終わりに近づいているので、正直に言ってもいいと思います」
谷内「好きなのはバッティングです。でもやっぱり守備で生きていかないと、この野球界で残れないなと思ったので、(気持ちを)振り切ってやっていましたけど、もうちょっと打てたら良かったのになと思います」
鶴岡「私もロッカーで、谷内さんがいつもスイングしながら汗だくで帰ってきてたのを見ていたので、守備よりバッティングの方が好きなんだと感じます。本当にお疲れさまでした」
谷内「はい、ありがとうございます」
ー心残りはあるか
「毎年、シーズン入る時に『今年ダメだったら終わりだ』っていう覚悟を持ってここ数年はやっていました。いざ辞めるってなった時に、悔いが残らないようにしようとファイターズに来てからは特に思いながら毎年、過ごしていたんで、意外とすっきりはしているなと思います」
ー特に衝撃を受けた選手は
「やっぱり(ヤクルトに)入って最初に1軍キャンプに行った時に、宮本さんがいて、岩村さんがいて、田中浩康さんがいて、 こんなところでやるのかって思ったのが最初だったんで、レベルが全然違うなって、その時に思いました」
ーレベルの違いとは
「正確性もそうですし、プレーのスピードとか状況判断も含めて、なんか付いていけないなって思ったところも入った時は正直あったので、そういうところですかね」
ー守備で生きていかないといけないと思ったタイミング
「正直、スワローズの時は何がなんでもレギュラーを取りたいと思っていました。空いてるポジションなら、どこでもレギュラーでやっていきたいなと思ってましたけど、ファイターズに来て、次はなんとか1軍でやりたいって思った時に、今このファイターズなら守備で1軍に貢献できて自分も生きていけるんじゃないかなって思ったのが最初だと思う。本当に良いタイミングでトレードしていただいたなと思います」
ーヤクルトでプレーした期間はどんな期間だったか
「やっぱり野球の基本を再度、教えてもらったというか、自分の今のプレーの基礎になっている部分は、ほとんどスワローズの時に教えていただいたことだと思う。あの期間がなければ、今の自分はないと思います」
―新庄監督も谷内の人間性を高く評価していた。周りの選手に言葉をかける時に心がけていることは
「そんなに特別、何かをしているとは思っていないですけど、やっぱり1軍でみんなで生活していく中で、少しでもみんなが前を向いてポジティブに生活すれば、野球だって多少は良い気分でやれると思うので、強いて言うなら、そういうところじゃないかなと思います。やっぱりプロ野球選手って個人で商売はしていると思いますけど、ペナントレースはチームで戦っていると思うので、みんなで何とか前を向いてっていうところで、行動はしていたつもりです」
―それは、プロに入ってから、先輩たちに声をかけられたりした経験から身に付いたものか
「僕は結構、アマチュアの時から、そういうところがあったかなと思います。中学、高校、大学と、結構ベンチ外のメンバーに支えられていたところはあると思う。今、例えば僕がベンチにいることが多いってなった時に、そういうメンバーがあんまり、自分勝手にやるとチームってどんどん崩れていくと僕は思っていた。ベンチにはベンチにやることがあるんじゃないかとか、レギュラーがもっと気持ち良くやれたらいいんじゃないかとか、どっかが不足しているなら、そこで自分がプレーしないといけないとか、そういう考えでやっていたので、心がけとかはないですけど、そんな感じですかね」
―今後の身の振り方。野球に携わると。指導者を目指すか
「もちろん興味はありますけど、いろんな可能性があると思うので、もう一回、気持ちをフラットに考えて、最初の1歩って結構、大事だと思うので、自分の納得する1歩目を踏み出せたら、いいかなと思います」
―アマチュアも視野に入っているか
「僕は一応、高校(教員)の免許を持っていますし、もともと小さい頃に考えていた職ではあるかなと思いますけど、現時点では詳しくは何も決めていないので、最後は自分がやりたいなと思った仕事を、くじ引きか何かで決めようかなと思います(笑)。迷ったら、そうします」
―栗山監督に報告は
「報告しました。『よく11年間やりきったな、お疲れさま』と、しっかり声をかけてもらいました」
ー最後にエスコンでプレーできる
「どうなんですかね。本当に難しい球場なので心配しかないです。楽しみ半分、不安半分。嫌なイメージで野球を終わりたくないなって今は思っています」
ー26日は(内野)全ポジションを練習していた
「そうですね。エスコンではいつも、試合に出ない時はやっていたので。一通りやっていこうかなって。今後(ノックを)受けることはなくなるので難しさを体感して、もういいやって思えればいいかな」