3カ月半ぶりに1軍昇格の清水優心 〝心〟と右膝の負傷を乗り越えてヒーロー
■パ・リーグ23回戦 ロッテ0ー7日本ハム(9月26日、エスコンフィールド北海道)
リレー完封お膳立て&2安打2打点
どん底を乗り越え、1軍の舞台に戻ってきた。日本ハムの清水優心捕手(27)が約3カ月半ぶりに出場選手登録され、「8番・捕手」でスタメン出場。リレー完封を導き、打っては2安打2打点と攻守で躍動し、チームの勝利に貢献した。即ヒーローとなり、「最高っす。最高。うれしかった~」と白い歯をのぞかせた。
お立ち台で「グラブだけは外さないように」
四回、六回に貴重な追加点となる適時打を放ち、守っては先発のポンセら3投手を強気にリード。お立ち台では神妙な面持ちで、こう語った。「絶対にグラブだけは外さないように、しっかり気を引き締めて試合に入れたかなと思います」
事の発端はエスコンフィールド北海道で行われた6月8日の広島戦。インプレー中にミットを外したミスが失点につながり、首脳陣の逆鱗(げきりん)に触れた。SNSを通して批判的なDM(ダイレクトメッセージ)が届き、翌9日に出場選手登録を抹消された。
弱り目にたたり目 捕手ができない時期もあった
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失意に暮れ、「心」を負傷。2軍降格後はさらなる悲劇に襲われていた。「けがも若干していました。キャッチャーの動きがあまりできなかった。しゃがんだりするのが痛くて」。右膝を痛めて、DHでの出場が続いた時期もあった。「打つだけなら(1軍に)上がれないので、キャッチャーができないと話にならない。そこはきつかった」
同級生の活躍に発奮 「負けていられない」
精神的に追い込まれ、「今年は1軍の試合を見られなかったです。きつくて、悔しくて…。気になるので速報とか見るんですけど、みんなが映像を(寮の)ロビーで見ていると、きつい時もありました」。目を背けたくなった時もあったが、同じ1996年度生まれのチームメートに救われた。
「多いので9人いる。今は1軍と2軍で半々ですけど、同級生の存在はデカかったですし、頑張っているのを見たら、負けていられない。(山田)遥楓とかには特に負けられない。こっち(1軍)で頑張っていたし、そういうのを見て」。仲間の存在が、沈んだ心を奮い立たせてくれた。
新庄監督の期待にも応えた 打球直撃もフル出場
練習中に「行くぞ」と声をかけてくれた新庄監督に、たくましくなった姿を見せることができた。九回の守備で打球が右膝を直撃し、トレーナーが駆け付けたが「あとちょっとだったので」と強行出場。最後までグラウンドに立ち続け、完封リレーを好リードした。
「あと数試合で今年は終わるので。何とか食らいついて、1年契約で来年あるないは分からないですけど、それに向けてしっかりとやっていきたいと思います」。逆境を乗り越えた男の目には、強い覚悟がにじんでいた。