細川凌平がプロ1号! 高校時代から記し続ける〝野球ノート〟が躍進の要因
■パ・リーグ23回戦 ロッテ0ー7日本ハム(9月26日、エスコンフィールド北海道)
興奮の一打 六回無死二塁で右翼越え2ラン
沈着冷静な21歳が顔を紅潮させた。日本ハムの細川凌平内野手が26日、ロッテ戦(エスコンフィールド北海道)の六回に、プロ初本塁打となる2ランを右翼席へ運んだ。
高卒3年目で飛び出した一発を「打った瞬間に良い感触、良い角度で上がってくれました。おととい楽天モバイルパークでフェンス直撃だったので、次は入ってくれと祈りながら走りました」と冗談めかし、笑みを浮かべた。
ベンチの指示を上回る結果 サインは進塁打
無死二塁で迎えた第3打席。岩下の低め直球を捉えると、打球は美しい放物線を描きフェンスを越えた。ベンチの指示は進塁打だったが、力強いスイングから最高の結果を残した。
記念ボールは両親、家族へ 「今まで育ててもらった」
「右方向に引っ張って、ゴロかフライが上がればいいという意識でした。サイン無視になりますかね(笑)」。1、2打席目にも快音を連ねていたため、初の猛打賞も同時にマーク。プロ1号の記念ボールを握りしめながら、大切な人への感謝を口にした。
「これは両親、家族みんなに贈りたい。中学を卒業してから親元を離れて、ずっと実家にいないので。今まで育ててもらった感謝の気持ちです。親も仕事をしていて、なかなか試合を観に来られない。ナイターの日はテレビで見てくれていると思うので、そういう日に打てたのは良かったかな」
努力は結実する 今や「自分しか持っていない一番の財産」
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思考を研ぎ澄ますための習慣がある。毎試合後、動画でゲーム展開を振り返り、ノートをつけている。高校時代から取り組むルーティンで、その理由を「どういう失敗があって、どんな流れになったのか。良かった点と反省点をじっくり考える。頭を整理できてない状態で練習をすると、毎日同じ取り組みになってしまう。ただ単に練習するのと、改善しようと思いながら練習するのは全く違うから」と説明する。
感覚を言葉に変え、ペンを走らせる。人知れず積み重ねた努力は、確実に血肉となっている。「人間はすぐに忘れてしまう。だから試合中でも気付いたことがあれば、すぐノートに書いています。投手の軌道やクセ、どのコースにどの球種が来たかチャートも付けて、自分なりのデータを取る。そうすることで投手の変化に気付くことができる。ページをめくれば、すぐ見られる。自分しか持っていない一番の財産です」。1試合ごとに1ページ。記し続けた〝野球ノート〟はプロ入り後、早くも3冊目に突入した。
前夜の田宮に続いた! さらなる飛躍期す
前夜の試合では、親交の深い先輩の田宮が初アーチを記録。一緒に寮へ帰る車内では「先を越されたな~」と、ほほ笑ましいやりとりがあたっという。「1日遅れになったけど、自分も打てて良かった」と細川。シーズン最終盤。輝きを増す原石たちが、来季への希望を与えてくれる。