《鶴岡慎也のツルのひと声》ロッカールームで見続けた谷内の努力 頭が下がる
■パ・リーグ24回戦 ロッテ4ー2日本ハム(9月27日、エスコンフィールド北海道)
新陳代謝が進むチーム 本人の決断を尊重したい
谷内がユニホームを脱いだ。まだやれる。正直、そう思う。きょうのバッティングを見ていても、戦力に十分なり得ると感じた。ただ、本人が決めたこと。日本ハムは今、急速に新陳代謝が進んでいる。立場やキャリア、あらゆることを総合判断しての決断だろう。尊重したい。
誰もが感銘を受けた献身的な姿勢
その姿は、チームに大きなものを残した。自分ではなく、チームのために淡々と仕事をする。献身的なその姿勢に誰もが感銘を受けたはずだ。
それぞれの位置でGG賞を狙える希有な存在
プレーヤーとしての谷内は魅力にあふれていた。何といっても華麗な守備。前監督の栗山さんも評していた通り、これだけ多くのポジションを完璧にこなせる選手は珍しい。ショートにサード、セカンド、ファースト。それぞれの位置で、ゴールデングラブ賞を狙えるぐらいの守備力を誇っていた。
目の当たりにしたバッティングへの強いこだわり
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守備職人のイメージは強い。だが、どれだけバッティングが好きか。打撃を大事にしているか。私は知っている。現役時代、彼とロッカーが隣だった。守備固めで出場した時も、打席機会がなかった時も、必ず試合後にはバットを振っていた。ミラールームで素振りをしたり、マシン打撃をしたり。いつも汗だくになって、ロッカーに帰ってきた。
打席の機会が減ると、自然と準備を怠りがちになる。谷内には、それがなかった。いつチャンスが来るか分からない。そう思いながら、準備をおろそかにしなかった。頭が下がる。だからこそ、勝負強いバッティングを随所で披露できた。この日の引退試合で放った先制打もそう。努力は結実するものだ。
素晴らしい人間性 ゆくゆくは指導者に
プロとは、こうあるべき。それを後輩たちに示してくれた。谷内の思いを胸に刻み、現役選手たちは励んでいってもらいたい。
今後、どういう道に進んでいくのかは分からない。でも、誰からも慕われ、頼りにされる彼のこと。何を選んだとしても心配はない。ただ、個人的には願う。もう一度、ユニホームを着て、今度は指導者としてグラウンドに立ってほしい。教員免許を持っている。教え、導くことに関してはピカイチだろう。まずは11年間、お疲れさまでした。