札幌MF荒野拓馬「伸二さんを最後ピッチに立たせて一緒に勝利を分かち合いたい」
■9月28日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
北海道コンサドーレ札幌は、30日のホーム柏戦(札幌ドーム、13時キックオフ)へ向け、ハーフコートのミニゲームなどを行い汗を流した。次節出場停止のMF荒野拓馬(30)が、27日に現役引退を発表したMF小野伸二(44)への思いを語った。
小野加入時からのメンバーは3人だけに
14年に小野が加入した時のメンバーで現在も札幌でプレーしてるのは、荒野とMF宮澤裕樹(34)、MF深井一希(28)の3人。引退発表当日、家族ぐるみで食事を共にするなど親交の厚い荒野があらためて惜別の思いを口にした。「僕だけじゃなくて、世界中のサッカーファンも、伸二さんのプレーに魅了されたと思います。僕も小学校の頃、2002年の日韓W杯で伸二さんを見て『あ、すごいな』と思った。その選手が札幌に来て一緒にプレーできて、こうやって札幌で現役を引退される。すごい光栄で貴重な時間だった」。小野が琉球に移籍していた19年途中から20年を除き約9シーズン、同じユニホームを着て共にタイトル獲得を目指した。
河合家で初対面「芸能人に会った感覚でした」
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小野の入団時、荒野は21歳。初対面が忘れられない。「伸二さんが入団会見をテレビ塔の下でやった時に、(河合)竜二さんの家でご飯食べながら見てて。その後、伸二さんが竜二さんの家に来る予定だった。さっきテレビで見てた人が目の前に来たっていう感覚が、最初は不思議でした」と、みんなより先に対面。「緊張しましたね。なんか本当にテレビで見てる人って感じ。芸能人に会った感覚でした」と強烈な印象が残っている。
「プライベートでも人間的に素晴らしい人」
話をすると、小野の人間性に惹かれた。「すごい優しい人。本当にサッカーが大好きなサッカー小僧っていう感じ。そこから得たものはすごいあると思いますし、サッカー面だけじゃなくて、プライベートでも人間的に素晴らしい人で、僕の人間性を成長させてくれた1人」。サッカーの師、人生の師と仰ぐ。
「必死についていこうと」
一挙手一投足、全てが貴重な体験だった。「一緒にプレーしてて、感覚的にすごい面白い人なんで、それに必死についていこうと。中盤で僕がなかなか試合に絡めなかった時期、伸二さんと深井、チャナと中盤を組んだ時に、4人で(相手を)チンチンにしたりして『すげえ、サッカーって楽しいな』って感じた。その4人で中盤で試合に出た時は本当にどうなるんだろう」とワクワクが止まらなかった。
日本中が注目するラストゲーム
リーグ戦は残り6試合。12月3日のホーム最終戦では〝主役〟に花道を用意するつもりだ。「まずは1桁順位。早く勝利をして、いい状態で最終戦に持っていく。伸二さんにもしっかりとコンディション上げてもらって、最後に札幌ドームでベンチに入ってもらいたい。そこで自分たちがいい内容で2-0、3-0にして、伸二さんを最後ピッチに立たせて、一緒に勝利を分かち合いたい、プレーしたい」。日本中のサッカーファンが注目するラストゲーム。プレーでしっかり恩返しし、背番号44を勝利で送り出す。
初の同部屋気遣い「プレステを買ってくれた」
◆トップに昇格した17年、初の春季キャンプで小野と同部屋だったFW菅大輝(25)。
「自分が気遣う感じと思ってプレステを買ってくれた。娘も欲しがってたからって言ってたんすけど、そういう気遣いがピッチでもオフでも当たり前のようにできるので、そういうところは学びました。高3の時から一緒にやらせてもらってましたけど、自分がここまで成長できたのも伸二さんのおかげでもある。そういう選手がいなくなるっていうのは悲しいことですけど、サッカー選手なんで、そういう世界。自分はまだ若いけど、伸二さんに教わったことを下の人たちに伝えていく役目になってっていくのかな。しっかり伝えていけたら」