6年目右腕・田中瑛斗「ど真ん中へ強気に」真っ向勝負で5回1失点 建山コーチ「本当に期待が大きい」
■パ・リーグ24回戦 日本ハム2ー3ソフトバンク(9月30日、ペイペイドーム)
プロ入り後最多99球 強力打線を相手に好投
勝ちに値する投球だった。日本ハムの田中瑛斗投手(24)が30日、ソフトバンク戦(ペイペイドーム)に先発し、5回1失点の好投を披露。九回に逆転され、白星こそ逃したが、プロ最多の99球を投げ、強打のソフトバンク打線を2安打に封じた。
昨季、育成から支配下に復帰した6年目右腕が、シーズン最終盤に秘めたポテンシャルを発揮した。
完全燃焼のピッチング 前回の反省を生かした
覚悟を決め、度胸満点のピッチングを展開した。前回登板した8月31日のロッテ戦で5四死球と制球に苦しんだ反省を糧に、明確なテーマを定めてマウンドへ上がっていた。「いかに、ど真ん中へ強気に投げられるか。開き直って(ストライク)ゾーンに投げられるかが大事だと思っていた。投げ終わって体力が残っている状態は嫌だったので、初回の先頭打者から全力を出しました」と、真正面から勝負を挑んだ。
制球重視で試行錯誤 手応えも十分
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コントロールを重視するため、走者がいない場面でもセットポジションから投球するなど、フォームにも工夫を凝らした。結果的に3四球は与えたが、「前よりはバランス良く投げられた。四球を出さないという課題は、まだまだだなと思ったけど、その中でも序盤はヒットを許さなかった。ゾーンで勝負できたのは良かったです」と上々の手応えを得た。
エース右腕を彷彿とさせる投球スタイル
この試合で最速150キロを計測した直球に加え、曲がり球に落ちる球、緩急も自在に操ることができる。その器用な投球スタイルは、エース・上沢と通ずる部分も多い。登板を振り返った田中瑛は「良かったのはスライダー。使えない球はなくて、全部を普通に投げられた。どの球種も無難に投げられることが僕の持ち味」と自らに及第点を与えた。
建山コーチも高評価 「長いイニングを任せられる投手になっていけそう」
若手のアピールは、来季の巻き返しを図るチームにとっても明るい材料だ。建山投手コーチは「いつもいつも上沢、加藤(貴)、伊藤。来年以降はそういう形だけではなく、新しい戦力が出てこないといけない。そういう点では本当に期待が大きい。もっと経験を積めば、長いイニングを任せられる投手になっていけそうな感じがしますね」と、才能の片りんを示した右腕のさらなる成長を願った。
2023年シーズンを好投締め 来季のブレーク期す
持ち越された目標を、来季こそ達成してみせる。シーズン開幕前。田中瑛は宮古島での合同自主トレ期間中に、自らの名前にかけて「瑛斗(エイト)なので8勝」とノルマを設定していた。掲げた数字は決して実現不可能なものではない。「来季どうなるかは分からないけど、1つのピースになれるよう、オフシーズンも頑張りたい」。今季ラスト登板で見せたパフォーマンスが大飛躍への出発点だ。