5年目捕手の田宮裕涼 外野でも猛アピール 18年ロマンドラフトの隠し球が頭角
■パ・リーグ24回戦 日本ハム2ー3ソフトバンク(9月30日、ペイペイドーム)
本職は捕手も「6番・左翼」で先発 そつなくこなした
日本ハムの田宮裕涼捕手(23)が30日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦に「6番・左翼」でスタメン出場し、適時打2本を放ってチームの全打点を叩き出した。本職ではない外野守備をそつなくこなし、俊足を生かして盗塁も成功。三拍子揃った異色の捕手が強烈なインパクトを残した。
ファームでの経験を生かした 「不安はあまりなかった」
舞台が違っても、冷静に対処した。1軍に限ると、外野手でスタメン出場するのは、初めてだったが、2軍での豊富な経験が生きた。三回には危なげなく飛球を処理し「ファームで結構、守っていたので、不安はあまりなかったです。思い切ってプレーするだけだと思っていたので、しっかりできて良かったです」と涼しい顔で振り返った。
魅力たっぷりの持ち味をフル活用
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評価上昇中の打撃でも「(田中)瑛斗さんが頑張って抑えていたので、どうにか打ってやろう」と燃え、勝負強さを発揮した。二回1死一塁では、板東の直球を捉えて左中間へ先制の適時二塁打。四回2死一、三塁ではフルカウントから膝元のフォークを右前へ転がし、追加点をもたらした。
捕手として出場した時の持ち味は、献身的なリードや強肩。しかし、魅力はそれだけではない。この日は相手バッテリーの隙をうかがい、盗塁も決めた。出し惜しみはしない。丹念に磨いてきたオプションを総動員させている。
存在感は急上昇中 黄金世代の隠れた才能
吉田、野村、万波、柿木…。高校野球界のスターが相次いで指名された2018年のドラフトで6位指名を受けたのが、千葉・成田高の田宮だった。甲子園出場経験はなし。強すぎる個性を持ったメンバーとは一線を画す「黄金世代の隠し玉」だった。
入団間もない新人合同自主トレの休養日。高校時代から注目され続けたメンバーが食事や買い物に出かける中、体を動かすため、グラウンドに出てきた。おっとりとした口調で「置いて行かれました」と冗談を飛ばしたが、当時から周囲に流されず、マイペースに取り組む一面があった。
異色のキャッチャー 「全部アピールしていきたい」
現状、正捕手争いをリードしているのは伏見、マルティネスだ。ただ、彼らにはない武器が、田宮にはある。「守って打って走って、全部アピールしていきたいなと思います」。シーズン最終盤で頭角を現したダークホースが、ファイターズを活性化させる。