３０日の出来事だ。ペイペイドームの記者席にいて、ふと気付いた。日本ハムファンが集う左翼席から、なじみのある曲が流れていた。今季限りで現役を退くことになった谷内の応援歌だった。打席にはドラフト５位ルーキーの奈良間が立っていた。

　「頼れる仕事人」のフレーズが印象的な応援歌。堅実さと勝負強さを併せ持つ、職人気質のプレーヤーにフィットする。谷内の前は、奈良原（現楽天コーチ）に使用されていた。一夜明けた１日、奈良間に感想を尋ねると「谷内さんの応援歌をもし、受け継げるならうれしいです」と口元を引き締めた。

　谷内と過ごした期間は短く、１シーズンだけだった。しかし、プロの心得や練習に取り組む姿勢を学び、濃密な時間を過ごしたという。「いろいろ教えてくれました。バッティングの考え方とか、全て教えてくれる先輩でした」。熱くて優しい〝師匠〟の魂も継承し、ファイターズに欠かせない名内野手になることを願っている。