池田隆英 失意の誕生日から4年 成長を証明する29歳バースデーホールド
■パ・リーグ25回戦最終戦 日本ハム4ー3ソフトバンク(10月1日、ペイペイドーム)
1点リードの八回に3番手登板 1回無失点で25ホールド
日本ハムの池田隆英投手が1日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦の八回に救援し、1回無失点に抑えて25ホールド目を挙げた。この日が29歳の誕生日。今季、勝利の方程式に組み込まれているセットアッパーは、チームに白星を呼び込み、大切な記念日に花を添えた。
普段通りにミッション完遂 「一球一球、投げるだけ」
1点リードでバトンを受け取った。メモリアルな登板も、浮足立つことはなかった。あふれる闘争心を身にまとい、打者に立ち向かった。2死から不運な内野安打こそ許したが、危なげなく後続を断ち、23球で料理した。
試合後は「一球一球、投げるだけかなと。どれだけホールドを取っても、そう思います。結局、次に打たれたら、何をしているんだとなる。うれしいですけど、その日で終わり」と自らのポリシーを口にした。
激動のプロ野球人生 25歳の誕生日に育成契約へ〝降格〟
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穏やかな表情、立ち居振る舞いとは対照的に、激動のプロ野球人生を歩んできた。創価大から2016年ドラフト2位で楽天に入団。3年目の19年オフには、右膝や左腹斜筋を負傷した影響もあり、戦力外を通告されて育成契約の打診を受けた。くしくも、25歳の誕生日だった。
無邪気な笑顔を封印 「この時期って嫌な季節でもある」
誕生日イコール、楽しいだけのイベントではなかった。自らのつらい経験はもちろんだが、それ以前から厳しい現実を目の当たりにしてきた。「プロ1年目から悟ったことがある。この時期って嫌な季節でもあるので、業界的に。誕生日をあまり祝っちゃダメというか…。ずっと控えめなところがあったんです」。毎年、少なくない数の選手が自由契約となる。それは決して人ごとではない。無邪気に笑えるはずがなかった。
肉体も精神もタフになった7年目右腕 貫く一球入魂
このまま野球を続けられるのか―。当時は肉体的にも精神的にも追い込まれ、不安と隣り合わせだった。ただ、苦しい時期を過ごしたからこそ今、1軍で戦うことのありがたみを実感している。
「現役を長くやろうとか、正直、考えていない。最高の準備をして最高のマウンドにする。たとえ、その日の状態が悪くても、悪いなりに100%準備ができたか。毎日、その繰り返しだから」。1球に懸ける執念がほとぼしる。崖っぷちからはい上がった男は強く、たくましい。