山本拓実が節目の40試合登板 「移籍した年だけって言われないように、気を引き締めないと」
■パ・リーグ25回戦最終戦 日本ハム0ー3オリックス(10月2日、京セラドーム大阪)
六回から4番手登板 目標に掲げた大台に到達
自らに課したノルマをクリアした。日本ハムの山本拓実投手(23)が2日、オリックス戦(京セラドーム)の六回から4番手で登板し、1イニングを無失点で切り抜けた。今季の登板数は節目の40試合に到達。シーズン途中に中日から移籍してきた小さな勝負師は、新天地で確かな実力を証明している。
ピンチにも動じず 2死一、三塁で若月を空振り三振
2死後に招いた一、三塁のピンチ。複数の走者を背負っても、マウンド上の背番号67は呼吸を乱さない。「僕は3者凡退で終わることが少ない投手なので(走者を)気にせず、落ち着いて投げられました」。得意のカットボールで若月を空振り三振に仕留めると、涼しい顔でベンチへ向けて歩き出した。
小柄な大投手から学んだ遊び心 急成長の礎に
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その強心臓ぶりは、今季限りで現役を引退する中日・谷元譲りだ。2022年から先輩を頼り、沖縄・宮古島で行われる合同自主トレに参加。訪れた南の島では、マウンド上で常に遊び心を持つ重要性を説かれた。もともと生真面目な性格の山本拓は今、ピンチの場面でも冷静に思考を巡らせる余裕がある。
「自分の中で2アウトをポンポンと取った後に、いろいろ試したい心が出る。それは全く悪いことではない。中継ぎなので一球一球、全力を出すけど、どこかで余力を持って投げています。自分が〝やるべきこと〟と〝やりたいこと〟をやる。その欲を消さないことが良い結果につながっていると思います」
〝有言〟実行のキャリアハイ 「首脳陣の方に感謝したい」
シーズン開幕前。1軍で30試合に登板した昨季の結果を踏まえて「できれば1、2軍合わせて60試合。1軍40、ファーム20のイメージで」と具体的な目標を打ち立てた。中日で14試合、日本ハムで26試合に登板し、シーズン残り1試合でノルマを達成。右腕は「ファイターズに来てからもドラゴンズの時も、使ってくださった首脳陣の方に感謝したいです」と謙虚な言葉で喜びを表した。
継続は力なり 来季に向けて気持ち新た
抜群の安定感を数字が物語る。移籍後の防御率は1・50。タフな役回りをこなした右腕への評価は、約3カ月で一気に高まった。それでも、山本拓は言う。「プロで6年やって、1年良くても次の年はダメという選手も見てきました。今年は良い形になったけど、来年も続けることが大事。『あいつは移籍した年だけだったな』って言われないように、より気を引き締めないと」。あどけなさの残る表情の裏側には、強い闘志を秘めている。