全てが札幌の「勉強」になった小野伸二

　今季限りで現役を引退することになった小野伸二。近年はなかなか出場機会がなく雄姿を見ることは少なかったが、彼がトレーニング中の背中を見せることで全てが札幌の「勉強」となった。彼がいるだけで札幌がメディアに注目されることも多かった。そういう面でもクラブに対する貢献度は高かった。

１８歳で出場したＷ杯のプレーに驚愕

　小野のサッカーセンスは誰もが認めるところだが、一番驚いたのは日本が初出場したフランスＷ杯で18歳の彼が股抜きをしたプレー。18歳の若さというのもあるが普通の股抜きではなかった。ドリブルしながらの股抜きなら分かるが、味方からのパスをワンタッチ目のトラップで相手の股間を抜いて状況を打開してみせた。Ｗ杯の大舞台でどれだけ周りが見えているのだろうか？この若者は。末恐ろしく思ったのを覚えている。

気遣いがあの優しいパスに繋がっている

　その後の活躍はご存じの通り。フェイエノールトでUEFA杯を制したのは本当に偉業だ。うちの息子がトップチームの練習に参加させてもらった時、とても優しく話しかけてくれたらしく感謝している。その気遣いがあの優しいパスに繋がっているのだろう。残り少ない選手生活を楽しんでほしい。

緊急事態だった柏戦、リベロに中村を使ったが

　宮澤、岡村、荒野が出場停止、馬場がアジア大会で不在だった柏戦。リザーブにＧＫ2人を入れざるを得ないほど人が足りない緊急事態だった。福森が何とか復帰してくれたので先発の顔ぶれは整ったが、交代カードで流れを呼び込むことは出来なかった。岡村が不在だったため、リベロに中村を使ったペトロヴィッチ監督。柏のワントップ細谷をどう封じ込めるかがポイントだったが、潰せなかった。

くさびを受ける細谷への寄せが甘かった

　最終ラインと中盤の間でくさびを受ける細谷への寄せが甘かった。中村にはもっと前に出てチェックしてほしかったし、周囲を動かして細谷に圧力をかけさせないと。上手くいかないメンタルがサイドチェンジのパスミスとなり１失点目につながった、２点とも細谷のフィニッシュに余裕があったのは、前線で起点になれたことで気持ちよくプレーしていたからだ。

残り5試合、１桁順位はもう難しい

　残りは5試合。１桁順位はもう難しい。現実的に上は11位、下の場合は16位の可能性がある。今季はＪ２降格が１チームで良かった。