【クラーク高サッカー部の挑戦】後編 創部4年目で全道大会初出場 野球部、女子バレー部に追い付き、追い越せ
昨年「ラスト3分」で惜敗から意識変化
昨年、初めて1年生から3年生までが揃った。「今考えるとあの敗戦がなかったら、今年みたいに結果を残せなかった」と就任4年目の伊藤壇監督(47)が振り返るのが、札幌支部ブロック準決勝の北星大付戦だ。前半を1-1で折りかえしたが「ラスト3分ぐらいで入れられた」と1-2で悔しい惜敗。
ひ弱だったフィジカルが向上、つらい練習を乗り越えた
その冬から猛練習が始まった。「とにかく走り込みです。個で戦えない選手が多かったんで、徹底的に雪の中走ったり、体育館もそうですけど、ただ何となくやっても飽きてきたり集中できないんで、いろんなアイデアを出した。リレーをやったりとか、山登りしたり、クロスカントリーをやったり。その辺のアイデアは海外にいた時のチーム監督から学んだ」。ひ弱だったフィジカルも向上、つらい練習を乗り越えることでメンタリティも鍛えられた。
夏の全道8強・東海大札幌高にPK戦勝ち
4年目に突入した今年は3学年40人の大所帯になった。9月の札幌支部ブロック準決勝では、夏の全道8強・東海大札幌高に0-0からPK戦勝ち。決勝の札幌東陵戦では、たくさんの控え選手や保護者が応援する姿を見て「感慨深かった。冬は北海道で一番厳しい練習はしたつもり。そこによく耐えてきてくれて、そのおかげもあって結果がついてきた」と目を細めた。
青森山田高前監督の黒田先輩との出会い
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
指導者として成長するのに多くの人たちの支えがあった。なかでも登別大谷高の先輩で青森山田高を全国の強豪に育て上げた黒田剛前監督(53、現J2町田監督)の存在は大きい。伊藤監督が高校3年時、大阪体育大4年の黒田氏が教育実習に来ていた。「臨時コーチとしていろいろ教えてくれた。すごい教え方のうまい人だなと。初の全国大会ではベンチにも入ってくれたんですよ。現役最後ぐらいの時とかご飯に行ったり、監督に決まってからも選手権の全国大会の前の練習を見学させてもらったり。人もいなくて全然弱かった時から練習試合もしてくれた」と、母校の人脈を通じた出会いに感謝した。
「結果を残すことによって上との差は縮まってくる」
深川市にある北海道本校の男子野球部、女子バレーボール部に続き全道大会の切符はつかんだ。「予定通りここまでは来てますけど、正直そんなに甘くないのも感じている。全道大会に出たから注目されて戦力が入ってきたりとか、いろんなことが加速すると思うけど、そこから全国大会ってまたちょっとハードルが高い。そこをクリアするためには間違いなく選手の意識を変えていかないとダメ。まだ全国を目指すメンタリティーじゃないし、実力じゃない。一つずつ結果を残すことによって上との差は縮まってくる」。今度は監督として全国大会にチームを導く。
「泥臭く走って、見てくれる人に感動を届けたい」
■4バックの左CB大釜陸空主将(3年)
「やっと目標だった全道に出場出来る。チームスタイルは毎年攻撃的。守備で前からはめていく。運動量と球際が大事。10人ぐらいいた同期は5人しかいなくなった。きついこともいっぱいあったけど、先輩方がいてくれたおかげ。初戦はしっかり0で抑えること。クラークは『人の心を動かす』サッカーが目標。泥臭く走って、見てくれる人に感動を届けたい。甲子園に出た野球部と比較されることが多い。いろんな所でクラークは野球でしょと言われた。だからサッカーで有名になりたい」