《荒木大輔のズバリ解投》シーズン回顧2023 ~投手編~ 来季は大きな穴を埋める必要がある
上々の防御率 投手陣には合格点
チーム防御率は3・08。決して悪い数字ではない。ただ、現状に満足していては進歩はない。先発、リリーフ陣とそれぞれの顔ぶれを見ると、もっとやれるというのが正直な感想だ。防御率でいえば、3・00を切ってもおかしくはない。
打線との兼ね合いで惜敗した試合は多いのだが、欲を言えば、投手陣で勝ちきる試合をもっと増やしてほしかった。13連敗を喫した夏場が顕著。13試合中、1点差負けが8試合もあった。エラーが絡んでの敗戦もあるが、1―0、2ー1の試合が増えてくれば、勝率は格段にアップする。
飛躍を遂げた田中正 池田や河野も存在感示した
今季、才能を開花させたピッチャーは多かった。筆頭は田中正だろう。抑えのポジションをつかんでくれたのはチームにとって大きかった。中継ぎでは池田や河野、福田俊の存在も頼もしかった。
このオフ最も大切にすべきことは
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彼らには来季も大いに期待したい。だからこそ、このオフが最も重要になる。シーズンを通してマウンドに立ち続けたのは実質初めてと言ってもいいメンバーばかり。蓄積された疲労は相当だ。登板数が50試合でも、肩をつくってマウンドに上がる機会のなかったゲームを含めれば、100試合に達する投手も少なくないだろう。
疲れを取り切らないまま〝2年目〟に突入し、本領発揮できずに沈んでいく。そんなピッチャーを何人も見てきた。痛みや違和感といった症状はハッキリしているのだが、疲れは気付きにくいこともある。「まだ大丈夫!」と錯覚し、レベルアップを期し、秋から、さらなる負荷をかけてしまうケースは多々ある。それが〝2年目〟のジンクスの一因にもなっていると想像する。
鉄腕リリーバーの偉業にあらためて感服
経験豊富な玉井らはケアの大切さを十分に理解しているはず。そして宮西。すごいとしか言いようがない。ルーキーイヤーから14年連続の50試合登板を2021年に達成している。
最悪を想定したチームづくりが必要
メジャー挑戦の意向を表明している上沢と、FA権を持つ加藤貴が抜ける可能性がある。正直、痛い。だが〝最悪〟を想定し、チームづくりしていかなくてはいけない。言わずと知れた先発の核。大きな穴を埋める必要がある。
自信をつかんだ上原 鈴木や根本にも期待
若手や新人は未知数。計算に入れることはできない。筆頭は上原。今季、一回り成長した。ストライクゾーンで、どんどん勝負できるようになった。これまでは、打たれたくないという気持ちが先立ち、際どいコースを狙いすぎていたように思う。もともと一つ一つのボールはハイレベル。少々、甘く入っても、そうそう打たれることはない。考え方をシフトしたことで、自信も芽生えたはずだ。
あとは後半に先発機会をつかんだ根本や、序盤に勝ち星を積み重ねた鈴木あたりか。そこに生きの良い若手がプラスアルファとして加われば、面白い。今年でいうなら田中瑛のような存在だ。可能性を秘めているピッチャーは2軍に多く在籍している。