【北海40度目の夏・驚異の粘りを探る】④初戦6失点から復活したエース岡田彗斗投手 背番号1の重圧と闘い続け
2回戦は浜松開誠館を5回⅓で1失点に抑え
〝代役エース〟から甲子園で真のエースに成長した。春から北海のエースナンバーを背負う岡田彗斗投手(3年)は、1回戦の明豊戦で途中救援も屈辱の2回⅓で6失点KO。それでも2回戦の浜松開誠館戦で見事に立ち直り、先発と救援の2度登板し計5回⅓を1失点、9奪三振と7年ぶりの16強入りに貢献した。
「甲子園で先発っていうのは本当に緊張した」
脳裏に強烈な印象を残した明豊戦から4日後。約2カ月半ぶりの先発マウンド。「ほぼ抑えでマウンドに上がっていたので、なおさら甲子園って場面で先発っていうのは本当に緊張しました。気持ちの整理も少し時間かかったんですけど、もうやるしかないと覚悟を決めて」まっさらなマウンドに向かった。
いきなりのピンチを3者連続三振で切り抜け
開始直後に右越えの二塁打を浴びバッテリーミスで三進。いきなり大ピンチを迎えたが、147キロの直球にスライダーとスプリットを織り込み2番から3者連続三振。自ら招いたピンチを力で抑えこんだ。四回に先頭打者に二塁打を浴びると暴投と犠飛で先制を許したが、失点はそれだけ。4回⅓を投げ1失点、8奪三振。最少失点差で2番手の長内陽大(3年)にマウンドを託し、自らは慣れない三塁の守備に就いた。
七回の再登板も3者凡退
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0-1の七回に再登板。先頭を三振に打ち取ると甲子園では初めての3者凡退。打線にリズムを与える投球で直後の同点劇につないだ。明豊戦では2四死球だったが、浜松開誠館戦では5回⅓を無四球。「コースも高さも決め切れた。スライダーが生かせたかな。4回通して投げられたのと、七回にマウンドに戻って3人でしっかり打ち取れた」。春先に熊谷陽輝(3年)が右肘を痛め、押し出されるようにエースを務めたが、甲子園のマウンドで堂々と投げる姿は伝統校の背番号1にふさわしい姿だった。
1回戦の明豊戦は6失点KO
明豊戦で一度切れた気持ちを平川敦監督(53)の言葉でつなぎ合わせた。2-1の五回に救援したが、先頭から連打を浴びると1死一、二塁で相手の主砲に左中間を破る三塁打を浴び逆転を許した。六回は無失点で抑えたが、七回に再び長短3本の安打と四球で3失点。2回⅓で再び熊谷にマウンドを託すと、ベンチで戦況を見つめることしかできなかった。
逆転でのサヨナラ勝ちも、一人悔し泣き
チームがタイブレークの末に劇的サヨナラ勝ちを収めた試合後、人目もはばからず悔しさで号泣。「ロースコアで進んでる中で、自分がその流れを崩してしまった。悔しさもありますし、自分がエースでいいのかってようなピッチングだった」。その日の夕食時、平川監督から「落ちこんでいてもしゃあないから、次に向けてしっかり投げられるように考えて」と声をかけられた。まだチャンスはある。名誉挽回のマウンドへ気持ちを立て直した。
甲子園7失点の神村学園に国体でリベンジ
岡田は甲子園3回戦の神村学園戦で2試合連続の先発を務めた。しかし制球が乱れ、一回に3連打で4失点、四回にも再び3連打で3失点(自責は3点)で7年ぶりの8強入りを果たせず涙を飲んだ。
だが、すぐにリベンジの舞台が用意された。国体1回戦で神村学園と対戦が決まった。2度目の対戦。岡田は1点リードの八回1死一、二塁のピンチに3番手でマウンドに上がった。ボールが先行しカウントは3-1。後がない状況だったが、136キロのフォークで遊ゴロ併殺に打ち取りピンチを脱出。九回も無失点に抑えストッパーの役目を果たし、国体29年ぶりの4強入りに大きく貢献した。
「この先への貴重な経験」
岡田は甲子園と国体、合計5試合に登板。どの試合も決して楽な試合はなかったが、創部120年を超える名門で受け継がれてきた背番号1にふさわしい投球を披露した。卒業後は社会人野球に進む予定。「全国っていう本当に高いレベルで投げて、結果どうあれこの先への貴重な経験です」。北海で学んだ最後まで諦めない精神を土台に、再び大舞台のマウンドを目指し歩みを進めていく。