【一問一答】万波中正のシーズン総括 タイトルそして4番へのこだわりは
日本ハムの万波中正外野手(23)が飛躍を遂げた2023年シーズンを振り返った。チームは低迷したが、ペナントレース最終盤まで本塁打のタイトル争いに絡むなど、入団5年目で大ブレーク。打率、打点を含む主要部門でキャリアハイをマークし、主砲として機能した。一問一答は以下の通り。
―今季を振り返って
「やっぱりチームの成績が振るわなかったので、すごい悔しい気持ちは常にあります。個人的に今までより成長を感じる1年ではありましたけど、やっぱりチームを勝たせる活躍がまだまだできなかったことで、来シーズン、もっと引っ張っていけるように。勝ちに貢献できるようにという思いは日に日に強くなっていると思います」
―若いメンバーが多い中で、どんな思いで戦ってきたか
「年齢に関してはあまり関係ないと思っていますし、オリックスだったり、阪神だったり、優勝した2チームも若い選手が中心になって勝っているので、年齢は全然、言い訳にならないと思いますし、その中で結果を残せなかったのは力がなかった。実力不足かなと思います」
―エスコンフィールドが開業した
「勝っている時も負けている時も、たくさんのファンの皆さんが応援に来てくださって、非常にうれしく思うと同時に、申し訳なさだったり、情けなさも感じながらの1年間になったと思いますね」
―プレーしていてどう感じたか
「本当に最高です。屋根を閉めていても開放感がありますし、開けた時の光が入ってきれいな球場というのは、僕自身も今までで本当にないと思います。プレーする側も見る側も本当に最高じゃないかなと思いますね」
―打率・265、本塁打25本、74打点。個人成績に関しては
「最初に立てた目標の数字になんとか近づいたのは手応えを感じた部分ではあります。実際やってみて、まだまだ悪くなった時の対応であったり、悪い癖の出方だったり、まだまだ修正できていないというのはありますし、成長する余地はまだまだあるなと感じてます」
―球界を代表する打者とタイトルを争った
「絶対に取りたいと思って、毎日打席に立っていた。先輩たちに挑むような、いい精神状態でプレーできた」
―攻められ方に変化は感じたか
「それはもちろん。1年間を通して、いろんな攻められ方をした。ある程度、克服できたと思ったら、違う攻め方をされたり。いろいろな発見があった。シーズンを通してそういうことの繰り返しなのかなと思う。それを1年間通して経験できたのは大きかった。来年以降、今年の経験を生かして、いろんな数字を伸ばしていきたい」
―印象に残っている本塁打は
「(エスコンで行われた9月16日のソフトバンク戦で)オスナ投手から打ったサヨナラ本塁打。それが初めてのサヨナラ本塁打。先頭打者(本塁打)から始まって、思い出に残る1本。あの1本が印象に残っている」
―新庄監督の2年目。変化や思いは
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
「みんなで勝ちにいこうという中でシーズンが始まった。なかなか結果が振るわなくて、連敗もあった。でもこうやってタイトル争いをさせてもらっているのは監督に起用してもらったから。最後に1番で使ってもらってたのは、タイトルを取る上での後押しの側面も大きかった。すごく感謝している」
―今季は守備でも活躍した。森本コーチの指導もあったか
「意見交換ができていると思いますし、僕から、いろいろ聞くこともあります。僕が考えるポジショニングとベンチのポジショニングが違って、ベンチの指示に従ってそこに打球が飛んで来たりとか、多くあるので、あらためてすごい感謝しています。ずっとライトで使ってもらう中で自分自身、落ち着きも出てきて、良いプレーが増えてきたかなという部分もあると思う。本当にいろんな要素があって、守備は成長できているんじゃないかなと思います」
―ゴールデングラブ賞への思いは
「もちろん取りたいですし。入団した時から、プロ野球を見ている時から、やっぱり格好良いなと、憧れていた賞でもあるので、チャンスがある時は本当に取りたいです」
―来季に向けてオフに取り組みたいことは
「チームとしてではありますけど、僕ができることは、僕の能力をまずは伸ばすことだと思うので、もっともっと飛躍的に能力を伸ばして、とにかく勝敗に影響力がある選手になりたいなと思います。チームにそういう選手がいる、いないというのは、勝っていく上ですごく大きいことだと思うので、チームが苦しい時、点が入らない時に僕のホームランだったり、1人で点が取れる活躍とか、とにかく塁に出て後ろにつなぐとか、そういったところを伸ばしていけるようにいろいろ考えてオフは取り組みたいなと思います」
―今季、ホームラン数が増えたきっかけは
「具体的な練習でいうと、1年間、ティー(打撃)をずっとキャンプから1日も欠かさず継続してきた。そこで真っすぐへの対応、高いボールへの対応は、去年に比べ格段に良くなったかなと。それがやっぱり一番かなと思います。パ・リーグでは、速い真っすぐをはじき返せるというのは、マストになってくるなと、シーズンをやりながら、あらためて感じるので。調子が悪くて真っすぐをはじけない時は、真っすぐを投げられれば、抑えられてしまう―みたいな状況になる。バッテリーとの勝負もそこから先に進めない感じがあるので。まず真っすぐへの対応が改善されてきたというのが一番の成長かなと。練習としてはそれが一番、良かったかなと思います」
―ティー打撃は自分のポイントを毎日、確認するために継続したのか
「ポイントもあります。でも一番はやっぱり、軌道ですね。軌道がとにかくアッパースイングにならないように。高めに対しての軌道づくりみたいなところが、一番大きい意味合いかなと思います」
―主催試合は早く球場に来ることが多かった。試合前にやっていたルーティーンは
「自分なりのウオームアップのメニューがあるので、それをやること。あとは長めのストレッチ。必ず全体練習が始まる前にケージでバッティング練習をやってからいくので。ほとんどの試合で欠かさず、できたんじゃないかなと思う」
―全体練習前のティーに費やす時間は
「だいたい30分前後ですね。30分ぐらいやってグラウンドに出る感じです」
―1年間、レギュラーで戦い、体力面は大変だったか
「そこが意外に。1年やってみてなんというか…元気ですね(笑)。体の疲れはそこまで感じていない。オールスター前とか、ちょっと一回、疲れがきた感じはあったんですけど、終盤になるにつれて、試合を重ねれば重ねるほど、慣れてきた感じもありますし、1年通してみたら、基本的にずっと元気な状態でやれたかなとは思う。今年に入るまで、ファームだったり、オフシーズンでいろいろやってきたことが、体力面に関してはつながっていたかなと思う。ある意味、一番手応えを感じているというか。元気でフルシーズン戦えている体をつくれたというのは、今までの4年間だったり、オフの過ごし方としては、自分の中で評価できるかなと思います」
―試合後に疲れを取るためにやっていたことは
「交代浴とか、そのくらいですけど。試合の後もウエートトレーニングをガンガンやったりしていますし、本当に元気でしたね」
―食事への意識は
「それはシーズン関係なく、継続的にある程度、気を付けているところではあるので、確かに食生活もあるのかなと思います。体重も1年間ある程度はキープできましたし、暑い時期も涼しい時期も、やっぱりちゃんと食べたりしてたので、それは一つあるかもしれないですね」
―去年は打席で迷いとかブレがあったのか
「迷ったり、ブレたりしているいうか。これをやれば良くなるんじゃないかとか、1年間、これをやりきろうみたいな、確信を持てる練習、打ち方が、自分の中でなかった。打てなかったらどうしても新しい方法だったり、いろんなことを模索して、試していた。それが今年はオフシーズンの段階で、こうしようというのはある程度決められましたし、幸い、キャンプから実戦でも結果がちゃんと出ていたので、こういう方向性でいいんじゃないかなというのでスタートを切れた」
―真っすぐへの対応について何か数値の変化は
「数字はぱっとは出てこないですけど、昨年は真っすぐの打率が1割台とかだったので、間違いなくそれよりは、はるかに良くなっていることは間違いないかなと思う。それこそオスナ投手から打ったのも、シュートではありましたが、150キロを超えて、高さもベルトか、ベルトよりちょっと上のインコースだったので、ああいうのをしっかりはじき返してホームランになっただけでも、昨年より成長を実感できるかなと思いますね」
―精神的にきつかった時期は
「7月くらい。打率自体は一番良かったんですけど、月別では。とにかく長打と本塁打が出なくて。自信を失ったというか、もうホームランは打てないんじゃないかと思った時期だった。ホームランを打てなかったら、長打がなかったら、他の選手に比べて飛び抜けている部分がなくなっちゃうなという危機感がずっとあった。捉えても長打になっていない。完全に角度をつけられていない状態だったので。どうしたらいいかも分からない。チームの連敗も続いて、あの時が一番しんどかった感じはありますね」
―自信を取り戻したのは
「自信を取り戻したと言えるかは分からないですけど、オールスターでホームランを2本打てたのが、やっぱりすごく自分としては(大きかった)。レギュラーシーズンではないけど、あの少ない打席数で、注目されるところで2本打てて。まだホームランを打てるな、うまくいったらちゃんと打てる可能性が自分にはまだあるなと思って、そこから後半戦に入れた。あのオールスターが自分の中では気持ちをつなぎとめてくれるような感じにはなりました」
―プロ野球選手として一番伸びたところは
「ちょっとバッティングから離れちゃうんですけど、守備で送球が、だいぶそれなくなってきたかなと。近い距離にしても遠い距離にしても、かなりタイトな時間勝負になっても、いい送球ができている手応えがあるので。そこに関しては大きな変化かなと思いますし、ファイターズの他の外野手と比べて、めちゃくちゃ守備範囲が広かったり、足が速かったりするわけでもないので。ピッチャーを少しでも助けられるようになったかなというのは、一番の成長かなと自分では感じています」
―来季の打順への思いは
「やっぱり中軸を打ちたいというのが一番ですね。最終的に打順を決めるのは監督なので、細かいところまでは左右できないですけど、でも万波にはクリーンアップを任せられる、どんな調子でも、そう思ってもらえるバッターになっていきたいですし、調子が悪くて下位打線を打ったりする時は、いい気持ちではないですし、悔しさもすごいある。どんな時でも常に中軸を任せてもらえるようになりたい」
―主軸としての自覚が芽生えた
「そうですね。やっぱり4番を打たせてもらって。もともと4番へのこだわりは全くないと、自分では思っていたんですけど、やらせてもらう中で、簡単に代わるというのはすごい悔しいですし、村上さんだったり、岡本さんだったり、牧さんとかもそうですけど、他の球団の実力がある皆さんは、調子がいい時期、悪い時期、関係なくずっと4番。打線の中心にどっしりいるというのが僕の中での4番打者のイメージだった。勝っているチームはいつも同じ人が4番を打っているイメージがありますし、1年間、4番であるにしても、そうでないにしても、中心でずっと戦っていけるような選手になりたいなというのは強く思いました」
―開幕4番への意欲は
「考えてはいなかったですけど、今、話していたら、自分の中にそういう気持ちもありますし、来年は、フル出場したい気持ちがあるので、守備でも打撃でも、とにかく代えの効かない存在になりたいなという思いも含めて、開幕から4番を目指したいですね」