柿木蓮 支配下目指して奮闘も「実力不足」 万波、野村ら高卒同期に抱く感情は
2018年の甲子園V右腕 もがき苦しんだプロ5年目
みやざきフェニックス・リーグに臨んでいる日本ハムの柿木蓮投手(23)が9日、プロ5年目のシーズンを振り返った。2022年秋に戦力外通告を受け、育成契約を締結。今季中の支配下復帰を目指したが、かなわなかった。必死にもがいている右腕の目に、万波中正外野手(23)ら高卒同期の活躍は、どう映っているのか―。揺れる胸中を明かした。
数字、内容ともに充実も… 厳しいプロの世界を痛感
想像以上にハードルは高い。期限の7月末を迎えても、柿木が支配下登録されることはなかった。イースタン・リーグでは33試合に登板し、防御率2・21。安定感を示し、アピールしてきた。「今までで一番、野球に向き合えた。バッターと戦えた。思い通り投げられるボールも増えた。充実したシーズンだった」と手応えはあった。
ただ、現実は厳しかった。限られた70人の枠をどう使うかは、球団の戦略やタイミングに左右される。吉報は届かなかった。「うーん…悔しかったですね。仕方ないこと。実力不足です。何も言えない。目標は終わってしまって、8月の最初の試合、練習は入りずらかった」
折れかけた心 救われた言葉とは
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ショックの色を隠せず、心は折れかけたが、周囲の励ましの声に支えられた。木田2軍監督から「腐ってしまう、あきらめてしまう選手も多いけど、1人でも評価してくれる人がいれば、野球ができる世界でもあるんだ。誰かが見ている」と助言を受けた。これが一つのきっかけになり「やっぱり悔いがないようにしたい。だらしない行動をしないようにする」と奮い立った。
豪華メンバーが揃った黄金世代 「(自分は)何をしているんだ」
高校野球のスターが揃った19年入団組。甲子園を制した大阪桐蔭のエースが柿木だ。1年目から同期と切磋琢磨してきた。あれから5年。横浜の万波が1軍で台頭し、本塁打王のタイトルを争った。花咲徳栄の野村もレギュラーに定着。階段を上る2人に少なからず、刺激を受けた。「素直に同級生が活躍しているのは、うれしいです。半面、(自分は)何をしているんだと。そう思います」
喜びと自らへのいらだちが入り交じる複雑な感情だった。1軍で結果を残せず、試行錯誤している金足農の吉田にも触れ「同級生でピッチャーはあいつしかいない。ライバルではないかもしれないですけど、やっぱり目に入ってしまいますね」と静かにうなずいた。
野球ができる喜びを再認識 6年目シーズンへ気持ち新た
プロで壁にぶち当たり、投球の難しさ、奥深さ、面白さに気づくことができた。今、掲げる目標は単純明快で「来年、野球ができることじゃないですか。一番は」と迷いなく言ってのけた。栄光と挫折を知る男の挑戦は続く。