■みやざきフェニックス・リーグ　日本ハム０－１オリックス（１０月１０日、ＳＯＫＫＥＮ）

８つの持ち球自在　予定の５回をきっちり

　日本ハムの金村尚真投手（２３）が１０日、みやざきフェニックス・リーグのオリックス戦で先発し、５回４安打無失点に抑えた。８つの持ち球を自在に操り、走者を許しても落ち着いて対処。あらためて能力の高さを証明した。ローテーション入りが期待される有望右腕は、プロ１年目の経験をどう来季につなげるのか。資格を残す新人王についても言及した。

反省も忘れず「もう少し考えて改善していけたら」

　ボールが先行しても慌てない。どの球種でもストライクが取れる。予定していた５回を丁寧に投げきり「いろんな球種を使いながら、真っすぐでしっかりファウルを取ろうと捕手の田宮と話し合っていた。変化球でカウントを取れましたし、真っすぐで空振りも取れました」とひと安心。当然、楽観視はしておらず「初回の先頭打者を出したり、内容的に悪い点もあった。もう少し考えて改善していけたら」と反省も忘れなかった。
 

球速差４５キロの緩急

　７７球のうち、スローカーブを４球、選択した。１０５キロの直後、１５０キロを投げ込むシーンもあった。球速差４５キロの配球は効果的で、相手打者は明らかに差し込まれていた。狙い通りの反応だった。「僕自身、１５０キロをガンガン超えるタイプではないので、緩急を使わないと、空振りも取れない。緩いボールが決まらないと、真っすぐに張られて打たれるというケースがあるので、そこは練習しています」。

３０イニング到達で来季新人王資格が消滅　首脳陣が配慮

　富士大からドラフト２位で入団した即戦力ルーキー。春季キャンプ、オープン戦で結果を残し、開幕ローテ入りを果たすと、２度目の登板で初勝利を挙げた。しかし、３度目の登板後、右肩の張りで登録抹消。治療とリハビリが長引いた。１軍復帰はシーズン終盤の９月２２日、楽天戦（楽天モバイル）。７回途中無失点で、プロ２勝目を挙げた。

　この時点で、４試合２５イニングを投げていた。３０イニングに達すると、新人王資格が失われる。首脳陣は、タイトルが一つのモチベーションになると判断。その後の１軍登板は見送った。

自分の投球で勝利重ねれば「おのずと狙えるところまでいく」

　監督、コーチの配慮はありがたかった。金村は「狙って取れるものでもないと思います。ただ、来年にチャンスを残してもらったので、その期待に応えたい」と意欲をたぎらせ、「しっかり自分のピッチングして勝利を積み重ねていく。そういう意識で取り組めば、おのずと（新人王が）狙えるところまでいくのかなと思う」と言葉をつないだ。制球力と投球術を兼ね備えた非凡な右腕。ローテを守ってフル稼働したとき、価値ある称号が見えてくる。