《岩本勉のガン流F論》特別編 お決まりフレーズ「まいど!」 いつ、なぜ生まれたの!?
野球ファンなら誰もが知る名文句 起源は
今や「ガンちゃん」の愛称とともにプロ野球ファンを中心に浸透している岩本さんの代表フレーズ「まいど!」。現役時代には、お立ち台から発せられるお決まりの言葉に、ファンは大いに盛り上がった。ところで、この「まいど!」。いったい、いつから? どうして岩本さんの代名詞となったのだろうか―。
ブルペンに響いたおっちゃんの声
きっかけは、酔っ払いのおっちゃん。いつかなぁ、1998年ぐらいだったと思います。球場は神戸。翌日の先発登板に備え、試合前にブルペンで練習していた時のこと。鼻を赤く染めたおっちゃんが話しかけてきた。「おーい!ガンちゃん、いつ投げんの?」と。
当時のパ・リーグは不人気リーグで、観客もまばら。お客さんの声もよく通るんです。予告先発なので、何も隠すことはない。「あした投げますよ。応援に来てや!」と。すると、そのおっちゃんは「ほんなら、きょうは帰るわ。あしたまた来るわ」って帰っちゃった(笑)
試合後にまさかの〝再会〟 そこで…
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試合当日。たしか完投勝利したのかな。試合後、ローカルニュース用のインタビューを受けていると、聞き覚えのある声が…。「おーい!ガンちゃん、来たでー。ナイスピッチや!」って。あのおっちゃんです。そこで出た言葉が「まいど! おおきに!」。その様子がスポーツニュースで流れたんです。それがきっかけですね。
DJチャス。も盛り上げに一役
その後、東京ドームで試合があって。その時は六回途中で降板。打線の援護があって勝利投手になったんですが、ヒーローインタビューなんて考えていなかった。試合後に着替えていたら、中原広報(現DJチャス。)が飛んできて。「ガンちゃん、ヒーローインタビュー!」って。正直、お立ち台に上るような内容ではなかった。「何か記録でもつくったかな?」「表彰でもあるのかな?」と思っていた。
すると、お立ち台に上がる直前に中原広報が「『まいど!』を言って!」と。そこで乗せられて「まいどー!」って発したら、お客さんがドッカーンですわ。まさにコール&レスポンス。それからのスポーツニュース。ピッチングの様子は流れなくても「この方は元気です」って、「まいどー!」の映像はよく放送していただきましたね(笑)
変わるパ・リーグを確信 思い出す大社義規氏の言葉
と同時に感じた。これからパ・リーグが、プロ野球が変わっていくと。今では、選手もどんどん個性を出すようになった。素晴らしいこと。生前、よく声をかけていただいた大社義規オーナーの言葉を思い出す。「人気商売。愛されてなんぼ。お客さんを愛してなんぼ。どうやって愛せるか」
ファンあってのプロ野球。私は今もその姿勢を貫き通している。賛否はあるけど、求められているなら、何でもやろうと。昔から人を楽しませること。ケラケラ笑っているみんなの顔を見るのが好きだった。以前、髙木豊さんに言われたことがある。「ガンちゃん、そのキャラはいつまで続けるの?」って。ハッキリと答えた。これは性分なんです。
「ガンちゃん」の名付け親はあの名投手
ちなみに「ガンちゃん」の愛称は島田直也さん(日本ハム、大洋、ヤクルト、近鉄で活躍)が名付け親。岩本の「岩」を音読みにし、親しみを込めて呼んでいただいた。2つ年上で、日本ハムに入団した時から、本当にお世話になりました。